天文そして宇宙物理

 3154年01月14日。レフリオンの事件は世界を揺るがしている。そして昨日送られてきた東二博士の研究データ。それはより世界を変えていくだろう。明確な代償だ。一か月と言うタイムリミットが生み出すのは絶大な力だという。


 私はいくつかの道を発見した。天文学の発展、そして宇宙について。レフリオンは、ロケットの能力を向上させ、かつ修繕も行える。


 一つ計画は頓挫した。それは有人ロケットの燃料をレフリオンとする案だった。しかしこれはレフリオンの毒性によって頓挫した。防護装置、それが発明されるまではお蔵入りになりそうだ。しかし無人ロケットなら話は別だ。どれだけ積んでも制約はないのだ。私は今日とある実験を行う。それは、どこまでの環境で活動できるかだ。


 レフリオンは今のところ正常に働いているのだろう。しかし宇宙空間に持っていけばどうなるかは不明だ。酸素無しの空間、無重力、そして過酷な温度。それらが立ちはだかる。それらに対してどれだけ耐えうるか、それを知っておかないとロケットに使うことなどできやしない。


 とある実験施設を訪れた。そこはあらゆる環境を再現できる実験室が存在するのだ。無重力から極寒の環境まで際限なく再現できる。


 「天照博士。お待ちしておりました。実験室のご用意は完了しております。」


 そう言って、案内してくれる。


 「こんな時にすみません、隆一博士。今は実験が忙しいだろうに。」


 「大丈夫ですよ。俺もどこまでの環境まで耐えうるかはいつか実験しようと思っていたんですよ。だから気になさらないでください。」


 そう話しながら、実験室へと向かう。彼とは大学時代の同期だった。選んだ分野、進んだ道は違ったが今でもこうしてそれぞれで助け合っている。私は、実験室へ入る。そこは最新式の設備で溢れていた。私の研究所には存在しない器具ばかりだった。それもそうで、天文学の実験場は宇宙そらの上だからだ。基本的には望遠鏡一つで事足りてしまうのだった。


 私は実験の用意を始めた、機械の設定をする。まず試すのは極寒環境。これは太陽系を離れる機体にレフリオンを使えるか実験するためだ。太陽系を離れたら極寒なのは分かり切っている。勿論絶対零度で実験を行う。響きは好きだが好ましくはない。私は実験エリアにレフリオンを置き実験室を後にする。操作盤で操作する。そして私は冷却開始のボタンを押す…


 機械から低い唸り声が鳴り響く。世界を破壊し尽くす迫力があった。


 その刹那、実験室からとてつもない冷気を感じた。死の危険を感じる。確実に人間は耐えれない。もしかしたらレフリオンを投与したらいけるのかもしれないが…

レフリオンの状態をチェックする。レフリオンは懸命に温度を元に戻そうとする。サーモグラフィでレフリオンの部分だけ少し赤くなっている。抵抗し続けている、しかしだんだんと氷漬けになっていく。そして、


 「熱源消失しました。実験終了します。」


 そう実験者がいい、機械は唸りを止めた。冷気が止まる、そして視界が晴れていく。そこにあったのは氷漬けになったレフリオンではなかった。レフリオンは、元の状態に戻したのだ。


 「絶対零度になるとさすがに耐えれないが、冷却が終わった瞬間に元に戻った?」


 サーモグラフィの履歴を見る。−273.15 ℃に達してから数十秒抗うが熱源は消失した、それで実験を終了し冷却を切る、-270℃になった瞬間、レフリオンは熱源を取り戻したのだ。そして周囲の温度も上がっていく。実験室内がレフリオンによって高速で温度上昇していく。そして私が実験室に行ったときもう温度は20℃に戻っていた。実験室の始める前の温度は20℃だった。つまりレフリオンは活動を再開したのだった。絶対零度から抜けた瞬間から…


 それから何十項目のも実験を終えいくつかのことが分かった。それはそのまま報告書にまとめ、博士たちに送るか。


 「レフリオン活動条件」

 「レフリオンが活動可能な条件が今回の実験で判明した。」

 「最低温度、-270℃。」

 「最高温度、200,000℃。」

 「酸素無しの環境では活動不可。」

 「真空状態では活動できず。」

 「気圧・100000気圧」

 「レフリオンは地球上で使う限り基本的にどんなことにも耐えうることが発覚した。」


 レフリオンは極限環境でない限り活動ができることが分かった。そして、抜け出したその瞬間から活動再開をすることができる。それらのことが分かった。これは天文学をやるに当たってとても重要な記録だった。つまり、酸素を供給すれば地球の周回軌道上を飛ぶ人工衛星として飛ばせるということだった。


 

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