もうこんな季節
季節はすぎて遂に俺も受験生になってしまった。勉強を全くしない日は無いと言ってもおかしくないと思う。
最近は今までまあんなに頑張ってた垢抜けもそれどころじゃなくなってきてしまった。
ワンチャンを狙って入れてたインスタも
休憩の合間に見た指定校推薦勢のストーリーにイラッとして消してしまった。
今は何やっても楽しくないし、あの子をバス停でみかけても前ほどの熱量をもてなくなってしまった。
そもそも、あの子自体もまだ2年生というのにも関わらず、頭の良いクラスなのできっと勉強に追われているのだろう
バス停でもたまにしか会わなくなってしまった。
このままあの子と話す事がないまま卒業してしまうのかな、そんなことまで考え出した。しかしそのような考えも、最近になるとどうでも良いというか、もういいやと思う程であった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
いよいよ受験本番まで残り何日か数えられるほどになってきて、現実味を帯びてきた、この頃になると3年生は学校にも週一でしか登校しなくなってしまう。
そのため、俺もあの子のことなんて忘れかけていた。
よくよく考えてみればいい迷惑だよなって思う。だってあの子からすれば普通にバス停でバスを待ってただけで、同じ学校の知らない男に勝手に好意を寄せられて、自分の知らないところでこんなこと思われてたなんて知ったらどんなに驚き、あきれることだろうか。
もしかしたら気持ち悪いという感情を持たれるかもしれない。
そりゃそうだよな…
自分でも驚くほど以前の俺との変わり様に
劣等感を感じていた。
それほど受験勉強というものが俺の中で大きな負荷となってのしかかっていた。
しかし、俺は死のうとは思わなかった
それはここで死んだらこの恋の結末を自分の目で確かめることが出来ないからだ。
俺は決心した。
今はとにかく受験勉強に専念する。
そしてこの生活が終わったら
今度はあの子に振り向いてもらえるように
もう一度恋を頑張る
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
これがバネとなったのか、俺は無事第一志望の大学に合格することが出来た。
ようやく受験も落ち着き、いざ恋をもう一度頑張ろうと思ったその時、俺は卒業式のイスに座って名前を呼ばれるのを待っていた。
横にはあの子ではなく3年間慣れ親しんだクラスメイトがいた。
そう、また俺はチャンスを逃したのだ。
あの時、話しかけようと思えばいつでも話しかけれた、俺はその状況に甘えて話しかけようとしなかった。
本当のことを言おうと思う。あの時、気づいたらこんな季節と言ってたけど
ただ、勇気が出なかっただけ。
向こうも確かに忙しくなったと思う。
だけど、俺が図書室で勉強してから帰るという日常に変わった時、あの子の姿も図書室にあった。
図書室はマナーとして私語禁止だとしても
帰りのバス停で同じになることなんて全然あった。俺は受験という忙しさを盾にして、いざ会ったら会ったで話しかけないというなんとも甘えた人間だったのだ。
確かに髪型もオシャレになって、胸板もついてきて、受験勉強で頭も確実に良くなった。
だけど、俺は1番大切なことを忘れてた
それが気持ちだった。
外から見えないからと言って甘く見ていた。
外見は変わっても中身は同じだった。
本当にごめんなさい。
俺は少なくとも、自分自身とこの本を読んでくれているそこのあなたに嘘をついてしまったわけです。
私はこれから卒業証書を貰います。
いよいよ本当にあの子と会うチャンスなんて無くなります。
今私の名前が呼ばれました。
いってきます。
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