恐怖のバレンタイン

そうこうしているうちに気づくと今日は

バレンタインになっていた。

最大で11個もらったことがある俺ならワンチャンあるかなと思ったので、机の中、

ロッカー、下駄箱の中、隅々まで探したがなかった。

彼女がいる友達はデートしたり、もう少し

イチャイチャしてから帰るので

俺はイライラしながら帰っていた。

羨ましいな…という気持ちがため息と共にでた。しかし俺にはチョコ以外に、なんならチョコ以上に気になることがあった。

それはあの子のことだ

仮にあの子に彼氏ないし好きな人がいたら

あの子はいつもの時間にバス停にこないはずである。また、これから会いに行くとしたら

手にチョコが入った紙袋を持っているはずであると踏んだ。学校のバッグはそこまで荷物が入らずバッグとしては致命的な欠点を持っていたため、彼氏彼女がいる勢は手にチョコが入った紙袋を持つことが多かった。

少しどころか、もしかしたら今日で俺の志がへし折られるかもしれないという緊張で

いつものバス停に向かった。

するとそこにはあの子がいた。

俺はすぐさま紙袋を探した。

しかしあの子は何も持っていなかった

そこにはいつものあの子がいた

その瞬間俺は嬉しかった。

人の不幸というか、人が付き合っていないのを願うというなんとも罰当たりな願いなんだと思ったけど、俺は嬉しかった。

その嬉しさのあまり俺は思わず話しかけようとしてしまった

「あのさ…」と言おうとした瞬間におれは

全てを悟った

ここで言うべきではない と

そもそも初対面で俺が勝手に認識してるだけで向こうはもしかしたら認識していないかもしれない。

しかも今日はなんて言ったってバレンタイン

そんな日にいきなり話しかけてきたら明らかすぎる。そもそも、バス停でいきなり話しかけるのってモラル的にどうなの。

あそこで話しかけていたらどうなってたかは分からないが、さすがの俺でも話しかけない方がいいと言うことはわかった。


しかし、これで少し安心することが出来た。

あの子には彼氏も好きな人もいない。

これが分かっただけでもいい進歩だと思った。

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