夫婦の形
王飛は八人兄弟の長男である。
個性豊かで賑やかな弟達と共に育ってきた王飛は漠然と“将来子を持つなら、それはきっと大勢の子だろう”と思っていたのである。
ところが実際は妻の程徽との間にはひとりの子も出来ずにいる。それは王飛にとって衝撃的な出来事であったが、だからといって愛する妻と離縁するなどという発想に至ることはなかった。
程徽を正妻にし、側妻を持てと皆に言われるがそれも乗り気ではない。もし側妻との間に子が出来れば、程徽との仲が変わってしまうことが恐ろしかった。
勿論この件については申し訳なさそうにする妻とよく話し合った。その結果、子はなくとも二人で睦まじくこの先も生きていこうと決着した。しかし、それを周りは許してはくれない。そっとしておいてくれない。放っておいてはくれない。
いつしか愛し合う二人は褥で肌を合わせる際、心ない言葉を思い出しぎくしゃくするようになった。更に程徽はこんなことを言う。
「あなた様のわたくしへの愛は痛いほどよく分かっております。ですが、ですがどうか側妻をお持ち下さいませ。どうぞ貴方のお子をお残し下さい」
いつもは気が強い妻がそんなことを言ってさめざめと泣く。それを見ると王飛は心が痛み、側妻を持つことが程徽にとっても良いことなのではないかとすら思えてくるのだった。
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