【Lv.3】下降
初めて降り立つ街は、人の犇めく繁華街。だったら良いのになぁ、と、その時、紅き竜は思った。だから、小さな山々にも見えたその街並みに、初めは眼を輝かせたものだ。なにぶん、人間という文明に触れるのは初めてで、どうにもこの身は人間のものとは異なるようだ。
「服とは、何だ?」
瞬く間に鉄に身を包む者たちに囲まれ、あわや投獄という結末になったのだった。
余程平穏なのか、檻は人間が居らず、もぬけの殻同然でもあった。無理矢理こじ開けても良かったが、これも勉強というものだ、折角の機会なので何もせず、ただ時折こちらの様子を伺う衛兵とやらの話を聴いておくことにした。間もなく、衛兵の群れの中から、特別意匠の異なる様相を纏う者が現れた。我々で言う、雌の個体だろうその者は、こちらを見るなり、言い放つ。
「私と共に、世を治めるつもりはないか?」
紅き竜は、まず惑う。
世を治めるとは何だと。統治という意味は知り得ているが、それを世だと言うなら、それはこの世界全てを以ての発言だろうか。しかし、そのような大それたことを、士は許しはしないだろう。その惑いを見透かすように、彼女は、全てを欲するわけでなく、人々の住まうこの国ひとつを、護り通すという意味だと告げる。であれば、紅き竜は願ってもないことだと、首を縦に振る。檻の扉が開かれ、紅き竜はその人間と握手を交わす。檻に反響するけたたましいほどの拍手の中、彼女は服という布の巻物をこちらに差し出す。
「人の世を、先ずは教えよう。」
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