11.青春?

「高校生の頃の話をしていると……青春って気がしますわ!」


「会話の内容が同窓会で再会したオッサン同士と変わらないんだが?」





「失礼な! わたくしがオバサンとでも言うのです……!?」


「オバサンどころじゃない年齢だろ」


「今からわたくしの周囲1光年以内を青春エリアと定めます。青春エリアの中にいる者は常に18歳以下ということにいたします」


「時を歪めただと……」





「じゃあシチュエーションを決めますわ。放課後の教室でわたくしたちは二人きり。あなたは窓際の席に座って、グラウンドに転がっているサッカーボールの数を数えている」


「サッカーボールの数を……数える?」





わたくしはあなたの背後にそっと忍び寄り、耳元でささやくのですわ。あなたに好きな人はいるのですか……と」


「なるほど。それで俺はこう答えるわけだな? ハエトリグモのN子ネコが好きだと」


「ネコ?」


「ネコハエトリグモって種類だからN子ネコと呼んでいる」





「青春ラブストーリーが青春コメディに変わってしまいますので、ハエトリグモ様にはご退場いただきたいのですが」


「そもそもお前がいる限り、この場にはコメディしか存在しないのだが」





「話を戻しますわ。耳元で囁かれたあなたは、無言のまま振り返ると……わたくしの唇を奪うのですわ!」


「そんなことはしないが?」


「突然なんてことをするのでしょう! このエッチ! スケベ!」


「エッチなのもスケベなのもお前なのだが?」





「というわけで始めますわ」


「始めるって、お前……妄想だけで鼻血が噴出しているけど大丈夫か?」


「たぶん本当にキスされたら出血多量で死にますわ……」





「シチュエーションを変えますわ。放課後、教室に二人きりになり、そしてわたくしはこう言うのです。りんご……」


「ごりら」


「らっぱ」


「ぱんだ」


「だちょう」


「いや待て、周囲1光年の青春エリアを用意して、やることはしりとりで良いのか?」


「宇宙にはアオハルもない。暗黒だけがあるのですわ……」

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