第6話

 ああ、もうおしまい。

 誰も私のことを、見てくれなくなったんだわ。

 くすん、くすん。


 そんな私のところに、渋川栗男さんがやってきた。


「やあ、天才トランポリン少女。ムフフ」

「あら、栗男さん」

「どうしたんだい、こんなところで泣いていて?」

「全てを失ったわ。もう誰も私のことが必要ないのよ」

「おお、かわいそうに。僕の胸で泣きなさい」

「うわーん、栗男さん!」


 私はひとしきり泣いた。

 栗男さんの大きくて温かい胸で。


「おお、よしよし。ムフフ」

「ありがとう、栗男さん。あなたはいつでも優しいわ。でも私、もう行くところがないのよ」

「それなら、僕のところに来ないか?」

「え、でも……」

「ジュースにお菓子に漫画もあるよ」

「え、ジュースにお菓子に漫画……。それじゃあ、お邪魔しちゃおうかしら」

「ムフフ」


 ◇◇◇


 その日から、私は栗男さんのお宅で、一緒に暮らし始めた。


 ジュースにお菓子に漫画の、気楽な日々。


 仕事もない。

 学校もない。


 誰にも邪魔されない、二人だけの静かな時間。


「ムフフ、気に入ったかい?」

「ええ、とっても」

「僕のこと、愛しているかい?」

「ええ、愛してるわ」


 でも、あるとき、それは一瞬にして崩れたの。


「ねえ、栗男さん。さっきから外が騒々しいわ」


 窓から外を見ると、大勢の人が集まっていた。


「マスコミの連中だ。あいつら、ここを嗅ぎつけやがったな!」

「マスコミ?」


 ドンドン、ドンドン!

 ドアを激しく叩く音。


「渋川栗男さん!週刊糞臭です!」

「あなた、ここに少女をかくまっているんでしょ!」

「大スクープだ!大スキャンダルだ!」


 きゃーっ。


 ドアが壊された。

 ドヤドヤと、マスコミの人たちが押し寄せる。


「ロリコンだ!」

「渋川栗男はロリコンだ!」

「それ、囲め!」

「連れていけ!」


 きゃーっ。

 栗男さんが、マスコミの人たちに連れていかれちゃった!


「待って、待って!栗男さんを連れて行かないで!これはロリコンじゃなくて、純愛よ!」

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