第5話
私は芸能事務所を飛び出した。
家に帰るわ。
パパ、ママ、どうしているかしら?
もうしばらく会ってないけど。
「確か、引っ越したのよね。この辺だって聞いていたけど」
パパとママは、実家を手放して、私が稼いだお金で、高級住宅地の高級マンションに住んでいた。
「ひゃあー、ノッポのマンション!富士山より高いわ」
エレベーターで9999階へ。
ピンポーン!
「パパ、ママ、ただいま!」
「おお、おかえり、天才トランポリン少女!」
「会いたかったよ、天才トランポリン少女!」
「私もよ」
感動の再会。
パパ、ママ、しばらく会えなくてごめんね。
「パパ、ママ、これからは大丈夫よ。私はもう、芸能界はやめたの」
「ええっ、それじゃあ、もうお金が入ってこないじゃないか!?」
「パパ、どうしたの?お金なんかどうだっていいじゃない。それより、これからは一緒に暮らせるのよ」
「ああ、終わりだ。破滅だ。もうこのマンションには住めなくなる。この親不孝ものめ。出ていけ!」
「パパ、どうしたっていうの?ねえ、ママ、パパが変よ」
「こんなむごい仕打ちを受けるために、私たちはあなたを天才トランポリン少女に育てた覚えはありません」
「トランポリンは私の才能よ。パパとママに育ててもらったんじゃないわ」
「まあ、この減らず口!あんたなんかウチの子じゃないわ。とっとと出ていきなさい、あばずれ女!」
「ママ!?」
一体、どうなっているのよ!?
私は、訳もわからないまま、パパとママのところを追い出されたの。
◇◇◇
くすん、くすん。
これからどこに行けばいいの?
そうだ。
今まで稼いだお金があったはず。
芸能事務所の社長さんから、あれをもらって、どこか遠いところにでも行ってしまおう。
「ねえ、社長さん。今までの私のお金、今すぐ全部ちょうだい」
「あれは事務所のお金だよ」
「えっ、どういうことよ。私が稼いだお金よ」
「君は途中で契約破棄してしまったんだから、違約金としてごっそりいただいたよ」
「そんな!?契約って何よ!?」
うわーん。
よくわからないけど、もうお金は一文もないっていうことね。
そうだわ。
こうなったら、街頭トランポリンでも何でもして、日銭を稼いでやる。
「みんなー、見て見てー。天才トランポリン少女よー」
ピョーン、ピョーン。
「なんだ、なんだ」
「天才トランポリン少女だとよ」
「そういえば、昔、見たことあるような」
ウフフ。
みんな集まってきた。
私はまだ人気があるんだわ。
「なんだ、天才トランポリン少女か」
「もう飽きたなあ」
「おい、みんな。関西に天才フラフープ少女が現れたぞ!」
「何でも回すらしい」
「大屋根リングを回してるそうだ」
「え、それは見に行かなきゃ」
「行こう、行こう」
「あーっ、みんな、行かないでえーっ」
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