第4話

 小鳥は、想い寝から覚めた。

 そこには烏丸の姿はなかった。そして、願い事を叶えた羽を失われていた。

 一時の願いのために、費やしてくれた。

 烏丸の死で、寂しさに覆われることはなかった。

「ありがとうございます」

 小鳥が立ち上がり、机に向かって、スケッチブックに描き出す。

 忘れないうちに、すべてを記した。

 絵の具で鮮やかに染めて、仕上げた。

 親鳥の思い出と、大好きな烏丸のことを。

 忘れないために、そこに描いたのだった。

 それを持って、小鳥は外に出ていく。

 大雪はすっかりやんでいた。

 朝日によって、天使の羽のような美しい雲が見えた。

 大地に白く染めていた雪が輝き、小鳥を祝福するように輝かせてくれる。

 どこまでも、大空を目指して。

 翼を広げて、羽ばたくように。

 新しい年に向かって、小鳥が走り出した。

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大空に羽ばたいていこう さくら猫 @SAKURAad

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