第2話

「ありがとうございます」

 親鳥は、小鳥に感謝する。


「春になるまで、ここで暮らしませんか」

 烏丸は、親鳥に提案する。

 親鳥が首を振って、断った。


「暮らすことはできません。温かいの場所にむかうので」


「そうですか」


「助けてもらったお礼したいと思っています。何かありますか」


「小鳥に聞いてもらっていいかな。助けたのは小鳥だし」

  いきなり、烏丸に話を振られて、小鳥は困った。


「お正月に飾る、しめ縄飾りを買ってきてくれませんか」

 お正月に玄関に飾る、みかんに葉っぱや扇子がついたものだ。

 神様が降りたきれいな場所だ。

 これをおくと、怖い霊や悪いものがやってこなくなる。

 神様なら、小鳥の願いごとを叶えてくれると思った。


 でも小鳥は、鳥だし、人間のところで買ってくることはできないと思った。別の願いにしようとする。

「わかりました」


「あの大丈夫ですか」


「大丈夫ですよ。動物たちが暮らすところで、買えますので。そこに向かおうとしていました」

 そんな夢ような場所があるのか、小鳥は不思議だなと感じていた。

 親鳥は雪がやんでから、飛び立った。


 小鳥は、親鳥にうらやましいと思った。

 だって、小鳥は、籠の中で暮らすことしかできない。人間に飼育された鳥と同じだ。

 遠くの空を知らない。かごから空に飛ぶことをできない。

 季節が移り変わりして、桜の花びらやいちょうの葉で、みんなに楽しませてくれる。

 だけど、小鳥は何もできず、魔法を使えたのも、偶然だ。

 姿も変わらず、みんなを喜ばせることもできない。このまま籠の中で、命を終わっていくのだ。

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