笑ひの鉛ー解説

 この詩は、人間の愚かさ、特に他人の不幸を楽しむ性質への怒りと嘲りを描きました。冒頭の「笑ふ者よ、そなたの舌は錆びてゐる」という表現は、笑うこと自体が錆びつき、腐敗していると暗示し、他者の不幸を味わう行為の不自然さ・不快さを象徴しています。


 「人の涙を甘く舐めることを覚え、胸の内の鉛は重く、影は自らを穿つ」と続く部分では、他者の不幸を楽しむ者は結局、自らの心をも傷つけ、重苦しい影のように自分を蝕む存在であることを描写しています。「鉛」という比喩は、胸に溜まる罪悪や腐敗の重さを象徴し、笑いの不自然さと結びつけました。


 さらに「蜜の味など幻、空の泡に過ぎぬ」という比喩で、人の不幸を楽しむ喜びは実態のない空虚なものに過ぎないと強調しました。これが苗木の伝えたいことです。愚か者の楽しみは、結局は消え去る泡のごとく虚しく、世界や他者を傷つけても何の価値も残さないのです。


 現代を生きる私達が、人生を本当の意味で満たすために考えなければいけないことだと私は思います。人間は、醜く、愚かで、それでいて美しいのですから。

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苗木の詩 苗木 @naegisann

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