哀れの徒
嗚呼、我はすぐさま人を
小さき
胸の
その人ごと遠ざけてしまう
本来、知っておるのだ
人とは皆、
それを抱きて歩むものなるを
赦し合ふこそ、友の証しなるを
されど、我が心は頑なに凍り
刃のごとき眼差しを隠し得ぬ
嗚呼、憎むは他者にあらず
我が胸に潜む、暗き影なり
人の瑕を
その嘲りは己へと返り
わが肉を
赦したき思ひ、確かにある
されど、それ叶はず
日々は腐れ
明日は
孤独は雪のやうに降り積もる
――我は哀れなる愚者
人を愛せず、人を憎み
己すらも赦せぬまま
なおも生を手放せぬ哀しき者なり
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語句の意味↓
○瑕、疵…不完全なところ。欠点。
○裡…奥底の感情。
○嗤ふ…嘲り笑う。冷笑する。
○穿つ…人の機微や物事の本質を鋭く見抜くこと。
○煤け…火や煙によって物が黒くなったり色あせたりする状態。
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