第7章 東北の「沈黙の巫女」の予言 その1

ピンポーン


インターホンが鳴ったので玄関へ行き、ドアを開ける。


「NMKからきました。」


目津房さんだった。


NMK…日本滅亡協会って“滅亡予言の布教”しかしてないんじゃないか?

仮に、布教以外に日本の滅亡を本当に画策しているのであれば、それは内乱罪に

あたるのではないか?

もしそうなら、警察とか公安が黙っていないんじゃないか…

そんなことを考えてしまった。


「とにかく、私の話を聞いてください!日本は滅亡しますっ!!」


目津房さんは、新しい“滅亡予言”を聞かせてくれるようだ。


「東北の「沈黙の巫女」って知ってますか?」


「今年の8月末から9月の始めくらいから話題になり始めた、この方もインディーズ系のニューカマーです!」


「インディーズ系のニューカマーかぁ…」


インディーズ系、しかも新参者…

これまでに目津房さんから聞かされた予言を思い出すと、胡散臭さしかない…。


「東北の「沈黙の巫女」さんは、東北の山深い村…、あ、詳しい場所は秘匿されて

いますが、多分、青森や岩手の辺りに住んでいたと言われています。」


「あー、その辺は“イタコ”さんで有名な地域だからねぇ。」


「予言者がいても不思議じゃないね。」


「霊視の精度を上げるために、「沈黙の誓い」を立てて、予言の時以外には言葉を

発しなかったそうです。」


「だから“沈黙”の巫女なんだね?」


「はい、そうです!」


「東北の「沈黙の巫女」さん…、これからこの方も“巫女さん”って呼びますね。」


「巫女さんの予言は、村の住民のみに語られ、決して村外へ漏洩することがないように徹底的に秘匿されていたそうです。」


「なんで秘匿されたの?」


「なんでも、巫女さんの村の長老が彼女の霊能を恐れていたからだと言われて

います。」


「なので、巫女さんの予言は彼女の死後に有名になったのです。」


「え?巫女さんはもう亡くなっているの?」


「残念ながら、去年の年末頃にお亡くなりになったそうです。」


「そして、彼女の唯一と呼ばれるお弟子さんが彼女の予言をネットで公表したことで、予言が知れ渡ったというわけです。」


うーん。

こういう「後だしジャンケン系の予言」って前にもなかったっけ…?

あ、「ホピ族の予言」だったw


「そんな巫女さんの予言は、なんと!的中率が90%を超えているそうです!」


そりゃぁ、“後だしジャンケン”だからねぇ…

そう思ったけど、目津房さんが熱く語っているのに水を差すのはひけ目を感じて

しまったので、こう言うことにした。


「90%越え?すごいね!」


「そうなんです!巫女さんの予言はすごいんですっ!!」


「ふんす!」っていう音が聞こえてきそうな感じで目津房さんが言った。


「そんな巫女さんが死の瀬戸際でお弟子さんに語ったとされる、未来についての予言があるんですよ!」


「え?これから起こることも予言してるの?」


いつものパターンだったが、楽しそうに話をしている目津房さんに合わせてみることにした。


「そうなんです!、でも今日は、結構話し込んじゃったので、巫女さんの予言に

ついては明日詳しくお教えしますね!」


そう言うと目津房さんは背を向けて帰って行った。

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