第6章 エリオ・ブレスレンの予言 その4

ピンポーン


インターホンが鳴ったので玄関へ行き、ドアを開ける。


「NMKからきました。」


目津房さんだった。


「私の話の続きを聞いてください!日本は滅亡しますっ!!」


今日も、エリオ・ブレスレン改めエリオおじさんの、日本に関する予言の続きを

教えてもらうこととなっていた。


「エリオおじさんが予言している日本の未来についてお話しますね!」


「昨日の続きで、エリオおじさんの日本の予言、3つ目は…」


「「経済システムの変革を通じた“人類の通貨”の出現」です!」


「“人類の通貨”?」


「はい。現在の通貨の概念が崩壊し、資本主義的利益追求のための通貨から、倫理や共同体を基にした新しい通貨の概念が生まれます。」


「それが“人類の通貨”なのです。」


「倫理や共同体を基に、って具体的にはどういう感じなのかな?」


「利益の追求ではなく“共同体の信頼”を基盤とし、価値の基準が金銭的な成長では

なく、正義、持続可能性、人間の尊厳、共同体への貢献を重視したものになり

ます。」


「イメージとしては、個人の行動が“倫理スコア”として評価され、それが通貨の流通に影響を与える仕組みだと思ってください。」


「これにより、競争社会から協力・成熟社会へのシフトが始まるとされます。」


「例えば、混んでる電車で老人に席を譲ったりしたら、それがお金になるって

こと?」


「そんな感じです!」


「なかなか良い新通貨だね!でも、どうやって、そういう通貨を流通させることに

なるのかな?」


「ブロックチェーンやAIを活用すれば可能だとされています。」


「そして、高いデジタルインフラと強い共同体意識をもっている日本が、その最初の“実験場”になるらしいです。」


「日本から始まるんだね!」


「そうです!なんか楽しみですね!」


「本当にそうなったらいいなぁ。」


「ふふ、では、次の予言に行きますね!」


「次の予言は、「2027年に分断の癒しと心の統一がある」です。」


「今からちょっと先のことだね。」


「これまでの予言で起こることが、日本中に広まるまで2年くらいかかるということみたいですね。」


「2年の間に、戦後日本を象徴するイデオロギー的分裂…、例えば、保守と革新、

若者と老人、都市と地方のような対立関係ですかね…、そういうものが“心の統一”を果たすということです。」


「“心の統一”って?」


「そうですね…、いろんな“心の統一”の仕方があると思うんですけど…」


「例えば、“芸術や文化を通じた融合”ですかね。」


「能や歌舞伎といった伝統芸能と現代アートが融合することで、古い価値観と新しい価値観との距離感が近づく…、といったところでしょうか。」


「あー、ちょっと前に、人気漫画を題材にした新作歌舞伎をやったっていうニュースを見たことがあったような…」


「ほかにも、“地域コミュニティの再生”が挙げられますね。」


「過疎化した地域に若者がやってきて、盛り上げようと頑張るムーヴメントとかですかね。」


「農業系男性アイドルがテレビ番組でやってたみたいな感じかな?」


「動画サイトで、同じように若者が“過疎地域を盛り上げよう!”としている動画を

見たことあるな。」


「そんな感じで、過去にもそういう動きがあったのかもしれませんが、そういった

動きが今後、ますます加速するっていうイメージでしょうか。」


「それが、サトシさんの出現によって実現されるって感じなのかな?」


「そうです!サトシさんが9月25日に覚醒した人たちを導くことで、そのような

“心の統一”が2027年までに達成される、というのです!」


「そんな日本になれば良いよね!」


「はい、そうですね!」


「そして、エリオおじさんの日本に関する最後の予言は…」


「今日も、長々と話し込んでしまったので、最後の予言は明日お話しましょう!」


目津房さんは楽しそうにそう言うと、昨日と同じようにスキップしながら帰って

行った。

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