第6章 エリオ・ブレスレンの予言 その3

第28話


ピンポーン


インターホンが鳴ったので玄関へ行き、ドアを開ける。


「NMKからきました。」


目津房さんだった。


「私の話の続きを聞いてください!日本は滅亡しますっ!!」


今日は、エリオ・ブレスレン改めエリオおじさんの、日本に関する予言を教えて

もらう手筈だった。


「エリオおじさんが予言している日本の未来についてお話しますね!」


「まず、「2025年9月25日に魂の分裂と選別がある」です。」


「おっ!またアセンション系?」


「アセンション系?」


「よくスピ系の人が言ってる「魂が上の次元にあがる」とか、そういう系の話を私はそう言ってるんだ。」


「そうなんですね…。エリオおじさんのお言葉を続けますね…」


「富士山から巨大な龍が現れ、1億2500万人の魂が二つに分かれる。」

「一つは黄金の光として昇天、もう一つは黒い煙として消滅する。」

「その時が、日本が再生するか、衰退するかの分岐点である、と。」


「うーん、よくあるアセンション系のお話ですなぁ。」


「前の予言でも、これと似たような話あったよね?」


「そうでしたっけ?」


目津房さんは自分がした話を忘れているのか?

それとも“アセンション”っていう言葉にピンときてないだけか?


「うーん、まぁいいや。」


「そんで、もう9月25日は過ぎてるけど、何か変化みたいなのはあったのかな?」


「実際に日本人の89%が「説明不能な不安」を感じ、73%が「変化を期待」すると

いう調査結果があるそうです。」


「それは、どこがやった調査の結果なの?」


「次の日本に関する予言は…」


目津房さんは無視する…

都合が悪かったんですね、わかりました。


「「静かなる変革者、導師「サトシ」の登場」です!」


「サトシと呼ばれる、平凡な日本人男性が9月25日の衝撃で覚醒し、超常能力を発揮するとのことです。」


「サトシさんは、日本の運命を変える“橋渡し役”を担うとされています。」


「サトシさんは、どんな超常能力を覚醒して手に入れたの?」


「権力を求めない姿勢、強い共感能力、宇宙的知性とのつながりなどがそうだと

言われています。」


“権力を求めない姿勢”…、わかるけど、超常能力じゃないよね。

“強い共感能力”…、わかるけど、これも超常能力じゃないね。

“宇宙的知性とのつながり”…、わからないけど、なんかキター!って感じ!


「サトシさんの獲得した、“宇宙的知性とのつながり”について詳しく教えてくれないかな?」


「“宇宙的知性”とは、人類を超えた高次元の存在や普遍的な意識のネットワークの

ことだとされています。」


「神様的な何かってこと?」


「そういう言い方でも当たらずとも遠からず、って感じですかねぇ。」


「とにかく、物質世界を超えた“全知の叡智”なんです!」


“アカシックレコード”みたいなもんかな?

でも、目津房さんは“スピ系”の単語を知らない可能性が高いので、問わないことにした。


「現代量子力学での“ユニバーサルマインド”とも関連があるとされています。」


どうでもいいけど、予言系の話って“量子力学”の話を持ち出してくるのが好きだよ

なぁ。


「サトシさんは9月25日に“黄金の光”に包まれた後、富士山の龍のビジョンを

通じて“宇宙的知性”とのリンクを獲得したそうです。」


「そして、“宇宙的知性”から託された「恐れるな。これは始まりだ!」という

メッセージとともに、これから与えられた使命を遂行するのです!」


なんか話が少年漫画っぽくなってきた…。


「次の予言は…っと、今日も長い間話し込んじゃいましたね?」


「この続きは、また明日にしましょう!」


そう言うと目津房さんはスキップしながら帰って行った。

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