第4章 マヤの予言再び その1
ピンポーン
インターホンが鳴ったので玄関へ行き、ドアを開ける。
「NMKからきました。」
目津房さんだった。
“NMK”…、『日本滅亡協会』。
今さらながら日本滅亡協会ってどういう組織なんだろう?
「とにかく、私の話を聞いてください!日本は滅亡しますっ!!」
目津房さんは、新しい“滅亡予言”を聞かせてくれるようだ。
「マヤの予言って知ってますか?!」
「知ってるよ!」
「中学生のときだったかな?そういうのが好きなクラスメートがいてさ、「もうすぐ世界は滅亡するんだー!マヤの予言がそう言っているんだー!」って騒いでたのを
覚えてるよ。」
「では、具体的な説明は省略しても大丈夫そうですね!」
「いや、予言の内容そのものは、あんまりよく知らないよ。」
「“マヤの予言”って名前だけ知ってるって感じかな?」
「では、最初に、マヤの予言について説明したほうが良いですか?」
「よろしくお願いします。」
「マヤの予言の“マヤ”とはマヤ文明のことです。」
「マヤ文明とは、中米、つまり北米と南米を繋いでいる地域で栄えた文明で、紀元前7000年くらいから始まり、16世紀にスペインに征服されて滅亡しました。」
「ふむふむ。」
「マヤ文明の遺跡で有名なのはチチェン・イッツァのククルカン・ピラミッドですね。」
「エジプトのピラミッドと違って頂上が平べったいピラミッドを見たことありますか?」
「あー、あれね。あれがマヤ文明の遺跡なんだね。」
「マヤ文明は、他の古代文明と比べて高度な天文学と暦をもっていたそうです。」
「天文学は、太陽、月、惑星の動きを精密に観測し、金星の軌道周期をほぼ完璧に
計算していたとされています。」
「太陽の春分や秋分の日の予測を、ククルカン・ピラミッドでの観測結果を基に
行っていたらしいですよ!」
「へー。あのピラミッドは“天体観測用”に作られたんだねぇ。」
「そういう説もあるらしいですね。」
「暦は、高度な天文学的知識に基づいて、3つの暦を持っていたと言われています。」
「私たちも使っている太陽暦だけでなく、儀式用の暦である“ツォルキン”、歴史用の暦である“ロングカウント”の3つを使い分けていました。」
「カレンダーを3つ使わなきゃいけない感じかな?それはそれで不便そうだけど…。」
「まぁ、それは現在の私たちの価値観で、マヤの人たちはそれが普通だったんですよ、きっと。」
「日本人も旧暦をたまに使うもんね、仏滅とか、大安吉日とか!」
「ふふ、そうですね。」
「そして、“マヤの予言”と関係してくるのは、“ロングカウント”と呼ばれる暦なん
ですよ。」
「なので、ロングカウント…これからは“ロングカウント暦”と呼びますね、に
ついて少し詳しく説明しようと思うのですが…」
「長くなってしまったので、続きは明日にしましょう!」
そう言うと目津房さんは背を向けて帰って行った。
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