第3章 群馬の12歳少年と石川の巫女の予言 その4

ピンポーン


インターホンが鳴ったので玄関へ行き、ドアを開ける。


「NMKからきました。」


目津房さんだった。


「私の話の続きを聞いてください!日本は滅亡しますっ!!」


今日は豪華予言2本立ての後半戦だ


「予言の続きをお話しますね!」


「グンマ少年はこんな予言をしています。」


『舞台から人が消えると、今度は赤い風が吹き始めます。』

『その風は血のような色をしています。』

『赤い風の中で、太い綱は二つに裂けます。』

『その綱に亀裂が入って、最後には大きな音と共に、完全に二つに分かれてしまう

んです。』

『その音がすごくて、まるで世界全体が割れるみたいなのです。』


「巫女さんの予言はこんな感じです。」


『黒い服を着た人が書類に署名させた後、日本全体が大きく揺れ始めるんです。』

『この揺れは、地震のような揺れではありません。』

『日本の基盤が崩れるような揺れです。』

『また、赤い風の中で、巨大な縄が真ん中から裂けていくのが見えるんです。』

『その縄はとても太くて頑丈そうなのに、まるで糸のように簡単に切れてしまい

ます。』

『そして、縄が完全に二つに分かれた瞬間、日本中が大きな音を立てて再度揺れ

始めるんです。』

『赤い風が吹く中で、人々が一列に並んでいるのが見えます。』

『そして、何者かによって、右と左に振り分けられていくんです。』

『二つのグループに分かれた人々は、最初は言葉で争っているだけですが、そのうち激しくなって、最後には実際に手を上げるような場面も見られるようになります。』

『特に駅前や商店街のような人が集まる場所で、激しい衝突が起きている光景が

見えて、とても怖いんです。』


「“赤い風”と“太い綱”が何かを暗示しているみたいだね?」


「“赤い風”は“強い不満に満ちた世論や民意”を、“太い綱”は“日本人の結束”を暗示

していると言われますね。」


「つまり…?」


「日本は“不本意な条約”のようなものを外国に結ばされ、そのことに不満をもつ人

たちが二つの派閥に分かれて…」


「その後、二つに分かれた派閥同士で暴力を伴う争い…暴動が起こってしまう。」


「そんなことを予言しているのだとされています!」


日本で暴動…。

にわかには信じられないが、昨今のテレビやネットで見る“品位を欠いたデモ活動”を鑑みると、あながち否定もしきれない…。

私は、自分が不安を感じていることに気づいた。


「そして、暴動は内戦に発展していき、やがて日本滅亡!って流れですかね!」


「今の発言は、目津房さんの感想ですよね?」


「はい!でも、滅亡して欲しいじゃないですか!」


何でこの人は、こうも滅亡に一生懸命なのだろうか…。


さて…。

今回の目津房さんの話は、ちょっとヤバかった…。

ちょっと信じてしまいそうになった自分が恥ずかしい。

考えてみれば、今回の予言者は“インディーズ系”だ。

しかも“新参者”だ。

メジャー系ならいざ知らず、インディーズ系、しかも新参者の予言なんて、そう簡単に信じられるもんじゃない。

予言の内容だって、今の国内情勢や国際情勢を考えれば、誰だって思いつくような

内容じゃないか…。

ここから、目津房さんに逆襲してやる!

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