第2章 冝保愛子の2025年予言 その4

ピンポーン


インターホンが鳴ったので玄関へ行き、ドアを開ける。


「NMKからきました。」


目津房さんだった。


「私の話の続きを聞いてください!日本は滅亡しますっ!!」


今日の話題は、昨日の“冝保愛子さんの2025年に関する予言”の続きだった。


「昨日、冝保さんは47冊のノートを遺族に託したと話ましたよね?その内の1冊、1996年のノートにはこう書かれていたそうです…」


「「2025年、多くの人たちが、時間の異常を感じる」と…。」


「実際に、2025年3月にはSNS上で「時間がおかしい」という投稿が47万件を超えたそうです。」


私自身そんな経験はないし、SNSでそのような投稿も見たことがなかったため、

にわかには信じられない話であった。


「また、1997年のノートにはこう書かれていたそうです…、「2025年、天空に不思議な現象が現れる」と。」


「天空の不思議な現象って?」


「“低緯度でのオーロラ観測”、“夜空の謎の発光現象”、“通常では考えられない雲の発生”などとされています。」


「多くの人がこれらの現象を目の当たりにして、霊的な世界への関心が高まるそう

です。」


「いやぁ、オーロラとか珍しいっちゃ珍しいけど、それを見たくらいで、人が簡単にスピっちゃうとは思えないなぁ。」


目津房さんは、自分に都合が悪い合いの手には反応しないようだ…、知ってたけど。


「ところで、冝保さんは、極秘で古代遺跡の調査も行っていたという話もあるん

です。」


「へっ?古代遺跡?」


「青森県の三内丸山遺跡での未公開地域を調査した際に、“巨石構造物”を発見した

そうなんです。」


「そして、この巨石構造物の配置が“オリオン座”の配置と合致していたんです!」


「ふぇ?」


“オリオン座”という突拍子もないワードを聞いて、変な驚きの声が出た。


「そして、冝保さんはこう言ったそうです…。」


「「ココです。7つの星から彼らは来ました。そして約束したのです。時が来たら、

記憶を蘇らせるために戻ってきます」と。」


どうやら今回の目津房さんの話は、“スピ”成分多めらしい。


「少し経って、文部科学省の職員が冝保さんのもとを訪れて、古代遺跡に関する発言を控えるように要請したらしいのですが、冝保さんは拒否したそうです。」


「ちなみに、1990年代には「古代文明調査制限委員会」という組織があったと

されていて、その職員は、そこに所属していたのではないかと言われています。」


出た!謎の組織出た!!

私は、目津房さんの望む方向性とはおそらく違う方向性で、胸がドキドキしてきた。


「その後冝保さんは、あるテレビ番組の収録に出演し、こう言ったそうです。」


「人類は、約1万2千年前、高度な文明を築いていました。」

「意識の力で物質を操作し、重力制御・時間操作・空間移動の技術を持っていたん

です。」

「しかし、破滅的事件で失われ、生き残った人類は記憶を封印し、原始的生活に

戻ってしまった…。」

「それが現在知られている人類史の始まりです。」


「しかし、このテレビ番組はいわゆる“お蔵入り”となってしまったそうです。」


「これには、古代文明調査制限委員会が裏で手を回したのではないか、という噂も

あります。」


“お決まりのパターン”の登場で、違う方向性のドキドキが有頂天だった。


「冝保さんが死去の直前に残した“星図”には、オリオン座と地球を結ぶ軌道に「2025年12月21日、帰還」との記載があったそうです。」


「つまり、2025年12月21日にオリオン星人が地球にやって来て、人類に昔の知識を思い出させるってこと?」


「はい。そのように解釈されています。」


「宇宙人かぁ…。」


ココに来て宇宙人の登場である。

もうなんでもありの様相を呈してきた目津房さんの話が、違う方向性でとても面白

かった。


「区切りが良いので、今日もこの辺で切り上げましょう!明日がクライマックス

ですよっ!」


目津房さんは楽しそうにそう言うと、昨日と同じようにスキップしながら帰って

行った。

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