第1章 ホピ族の予言と3I/ATLAS その5
ピンポーン
インターホンが鳴ったので玄関へ行き、ドアを開ける。
「NMKからきました。」
目津房さんだった。
「私の話の続きを聞いてください!日本は滅亡しますっ!!」
今日は、ホピ族の予言とスリーアイアトラスの関係について、目津房さんから
聞かされることとなっていた。
私は“話がクライマックスに向かっているような気”がしていた。
目津房さんから“やる気”のようなものが、ひしひしと伝わってくる。
「スリーアイアトラスの色が緑色に変化したと言いましたよね?」
「うん。昨日そんなことを言ってたね。」
「“緑色”のことを“青色”と言う場合もありますよね?信号機の“青”とか。」
「そうだね。それが何か関係あるの?」
「ホピ族の予言の9つ目の兆候は、『天にある住居が大音響と共に落ちてくる、
それは青い星のように見えるだろう』でしたよね?」
「うん。ISSが落っこちるってやつだよね?」
「“それは青い星のように見えるだろう”という部分について、何か気づいたことは?」
「もしかして、スリーアイアトラスがその青い星?!」
「ご名答!!」
「そして、スリーアイアトラスが“宇宙人の宇宙船”だったら?」
「“天にある住居”が“宇宙人の宇宙船”?!」
「そうです!!」
「ホピ族の予言の9つ目の兆候…、それは『スリーアイアトラス』だったん
ですよ!」
「な、なんだってェーーー!!」
「スリーアイアトラスが太陽に最も近づく10月末頃、ホピ族の予言が現実となり、人類は、滅亡、す・る・ん・ですっ!!!」
目津房さんは、鬼気迫る勢いで人類の滅亡を宣言した。
「…。」
「ちょっと待って。」
「スリーアイアトラスって、地球に最も近づいたのは9月だったよね。」
「そんで、今は太陽の方に向かってて、地球からは遠ざかってるんだよね?」
「えっ?!」
「どこかのタイミングで、スリーアイアトラスはUターンして、地球に落下してくるの?」
「いや…、宇宙人の宇宙船なんだからUターンくらい…」
「って言うか、わざわざ戻って来るくらいなら、地球に一番近づいた時に落下すれば良かったのでは?」
「いや、でも…、巷では、10月末頃にスリーアイアトラスが落ちて来るって…」
「うーん、なんか説得力ないよ。」
「しょせん、予言なんか当たるわけないんだよ…。」
「何を言ってるんですかっ!ホピ族の予言は当たるんです!!現に8つ目の兆候までは当たっていたんですからっ!!」
「それだって、何かこじつけっぽかったし…、8つ目だっけ?ヒッピーが流行ったのを、予言が当たったことにするのは無理がある気がするし…。」
「ホピ族の予言をインチキ呼ばわりするんですかっ?!!」
「だからモテないんだと思いますっ!!」
「モテるかモテないかは人によるでしょ!」
「もういいですっ!!!」
ドンッ
目津房さんにドアを無理矢理閉められた。
私はドアを開けて見ると、目津房さんは「ぷんすか」という体で帰っているところ
だった。
きっと彼女は、また別の家に訪問して、ホピ族の予言を“布教”するのだろう…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます