第1章 ホピ族の予言と3I/ATLAS その3

ピンポーン


インターホンが鳴ったので玄関へ行き、ドアを開ける。


「NMKからきました。」


目津房さんだった。


「私の話の続きを聞いてください!日本は滅亡しますっ!!」


今日は、ホピ族の予言にある“9つ目の兆候”がテーマだった。


「昨日までのお話は、まだ覚えていますか?」


「はぁ…、だいたいは…。」


「では、9つ目の兆候についてお話しますね!」


「ホピ族の長老の語る9つ目の兆候は『天にある住居が大音響と共に落ちてくる、

それは青い星のように見えるだろう』なのですが…」


「この“天にある住居”について、何か思い浮かぶことはありませんか?」


「ISS、国際宇宙ステーションのこと?」


「そうです!ISSが地球に落ちてきて、「ドカーン!」ってなって人類滅亡!

そういう風に解釈している人もいますね!」


今までで一番楽しそうに目津房さんは語った。


「NASAでは、2031年頃に、現在のISSをポイント・ネモに“制御落下”させる計画があるらしいんです。」


「あっ、ポイント・ネモっていうのは、南太平洋の“地球上で最も陸地から遠い海洋の地域”のことです。」


「老朽化した人工衛星なんかをこの地域に“制御落下”させているらしいですよ。」


「ですが、何かの間違いで、ポイント・ネモじゃなくて陸地に落下することに

なったら…」


私はゴクリと喉を鳴らした。


そのようなことが起こったら、まさに“人類滅亡”級の大惨事になるだろう…。


「また、大規模な太陽フレアが発生して、それが原因でISSの電子機器が壊れて、

制御を失って落下!ってことも考えられますね!」


「あー、今年は太陽フレアが多いって聞いたことがあったな。」


「今年、2025年は通常より太陽フレアの発生が多いらしいですからねっ!」


「それでもうすぐ人類は滅亡しちゃうんですね?」


「はい!ISSの落下で、近々世界は滅亡しちゃうかもしれないんです!!」


何でこの女性は“滅亡”に関する話を、こうも楽しく話すのだろう…。


「ですが、ISSの落下が9つ目の兆候じゃないかもしれないんですよ?!」


「え?他にも滅亡理由があるんですか?」


ちょっと興味を持ってしまった自分が恥ずかしい。


「ふふっ!じゃぁ、“新説”については、また明日ってことにしましょう!」


そう言うと目津房さんはスキップしながら帰って行った。

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