第1章 ホピ族の予言と3I/ATLAS その2
ピンポーン
インターホンが鳴ったので玄関へ行き、ドアを開ける。
「NMKからきました。」
目津房さんだった。
昨日、隣のおばちゃんから、目津房さんが「滅亡おねえさん」と呼ばれている近所の有名人であることを教えてもらった。
一昨日はおばちゃんのところに来ていたらしい。
「私の話の続きを聞いてください!日本は滅亡しますっ!!」
そういうと彼女は私の意向を確認せずに、昨日のホピ族の話の続きを語り始めた。
「今日はホピ族の長老が1960年頃に語った“9つの兆候”の大発表についてお話しますね!」
「この9つの兆候が現れた後に、「浄化の日」が訪れ、世界は滅亡するわけです!」
「はぁ…」
宗教じみた話になってきたが、目津房さんの目的が“宗教の勧誘”でないことは、隣のおばちゃんから教えてもらっていた。
ただ単に、“滅亡予言”を誰かに話したいだけらしい…。
訳のわからない状況になってしまったのだが、見た目の良い女性と
コミュニケーションがとれるのは悪い気がしなかったので、彼女の好きにさせた。
「まず1つ目の兆候は、『白い肌の男たちが来る』です。」
「これは、アメリカ大陸に来たヨーロッパ人の移民のことです。」
「ちょっと待って!ホピ族の長老の大発表って、1960年頃だよね?それより昔の
ことを言って予言が当たったって言われても…。」
目津房さんは、私の発言を無視して話続ける…
「2つ目の兆候は、『声の入った回転する車輪が来る』です。」
「これはヨーロッパ移民がもたらした馬車や自動車のことだといわれています。」
「3つ目の兆候は、『バッファローのような角の長い奇妙な獣が土地を覆う』です。」
「これもヨーロッパ移民がもたらした家畜の牛だといわれています。」
1つ目から3つ目は、結局、ヨーロッパ人のアメリカ植民を言っているだけだと
思った。
「4つ目の兆候は、『鉄の蛇が土地を横断する』です。」
「これは鉄道の発明と発展のことです。」
「5つ目の兆候は、『巨大な蜘蛛の巣が土地を覆う』です。」
「これは電線や通信網のことですね。」
「6つ目の兆候は、『石の川が土地を横断する』です。」
「これは、自動車用のアスファルトを用いた道路や高速道路のことです。」
ここまでの予言?予兆?は、長老の大発表より前の出来事である…。
「7つ目の兆候は、『海が黒くなり、多くの生き物が死ぬ』です。」
「これは石油タンカーによる重油流出事故や、ただ単に海洋汚染のことをいっているようです。」
「8つ目の兆候は、『長髪の若者がインディアンの知恵と生き方を学びに来る』
です。」
「これは、1960年代から1970年代に流行した“ヒッピー文化”のことだと言われて
います。」
「なんか8つ目の兆候、しょぼくないですか?」
またしても私の言葉を無視して目津房さんは続ける…
「そして、最後の9つ目の兆候が、『天にある住居が大音響と共に落ちてくる、それは青い星のように見えるだろう』です。」
「この兆候は、まだ現れていない…とされています。」
「まだ、世界は滅亡してないから、兆候がないのは当たり前なんじゃないですか?」
「ふふふ…、そう思うでしょう?では、この9つ目の兆候の詳細は、
明日お話しましょう!」
そう言うと、目津房さんは踵を返して去って行った…。
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