カクヨムには読書が好きな方も多いでしょうし、『蟲毒』という呪いを聞いたことのある方も多い事でしょう。
閉鎖された空間に沢山の虫を入れ、生き残った一匹を使って呪いをかける、というアレです。
本作の主人公は中学二年生の少女。彼女は「居心地のよい学校生活」のために、邪魔なクラスメイトを蟲毒の呪いで排除することを画策します。
ホームセンターで梅酒を漬けるビンを買ってきて、さっそく蟲毒の準備を始める主人公。
ところが、所詮は中学生。蟲毒に使う虫に何を選べばよいのか分からず、その辺りにいる虫を手当たり次第にビンに放り込みはじめて……
「人を呪わば穴二つ」という言葉もありますが、他者にかけた呪いは自分にも帰って来るという考え方があります。
呪いという行為はただでさえ精神的に危ないものなのに、正しい作法も知らない主人公のかける呪いの儀式の危なっかしい事。
実際、徐々に主人公の周りには怪しいことが起こり始め、読み進めながらハラハラしました。
2万字弱の少し長めの短編ですが、長いと感じない丁寧な作品です。
ラストにもしっかり仕掛けがあり、おおと思わされました。
虫が大丈夫な方であれば、オススメです。
蠱毒ってホラーでよく聞く言葉です。私もちょっと興味がありました。
だけど、実際に実験してみようとは思わなかった。
中学生の主人公の愛華は、自分だけが居心地の良い世界をつくりたいという理由で、蠱毒を作りはじめました。
善悪についてまだ無知で、実に子どもらしい無邪気な自己中心的思考です。これが大人でなく中学生だという設定が物語を成功させていると感じます。
蠱毒の具体的な観察日記も悍ましくてホラーとしての怖さを増幅させています。それがただ淡々と述べられているだけに、余計不穏な雰囲気を醸し出しています。
ゾワゾワとした恐怖に蝕まれる感触をどうぞ体感してください。おススメです!
ホラー大得意まさつきさんの最新作です。
わたくし自身はホラーは好んでは読まないので、カクヨムホラー界の様子には通じていないのですが、これはかなり優れた作品なのではないかと思います。
主人公の中2女子の愛華は、転校したての学校で、うざい美晴から様々な嫌がらせを受けます。どうも美晴の幼馴染の河野君が、愛華に懸想しているのが許せないようです。そこで、愛華は、「おばあちゃんに教わったアレ、『蟲毒(こどく)』で、美晴を呪っちゃおう!」と、大きな瓶を買ってきて、蜘蛛だのゴキだのコウロギだのミミズだの、一杯に蟲を詰め込んだのです。「ふふ、食い合って最後に残った蟲には人を呪う力が宿るのよ!」。それから瓶の中はグチャグチャのドロドロに、、そして美晴ちゃんは……。
気味の悪いホラーですが、不思議と読み味は軽く、ストーリーも構成もよく練られており、不自然な点もなく、一気に引き込まれます。それを支えるのは、丁寧で読み易い文章力です。17000字のかなり長い短編ですが、10分で読了できると思います。
虫嫌いな人はダメですが、そうでなければ一読の価値ありです。
是非どうぞ!