人を呪わば……?

カクヨムには読書が好きな方も多いでしょうし、『蟲毒』という呪いを聞いたことのある方も多い事でしょう。
閉鎖された空間に沢山の虫を入れ、生き残った一匹を使って呪いをかける、というアレです。


本作の主人公は中学二年生の少女。彼女は「居心地のよい学校生活」のために、邪魔なクラスメイトを蟲毒の呪いで排除することを画策します。
ホームセンターで梅酒を漬けるビンを買ってきて、さっそく蟲毒の準備を始める主人公。
ところが、所詮は中学生。蟲毒に使う虫に何を選べばよいのか分からず、その辺りにいる虫を手当たり次第にビンに放り込みはじめて……


「人を呪わば穴二つ」という言葉もありますが、他者にかけた呪いは自分にも帰って来るという考え方があります。
呪いという行為はただでさえ精神的に危ないものなのに、正しい作法も知らない主人公のかける呪いの儀式の危なっかしい事。
実際、徐々に主人公の周りには怪しいことが起こり始め、読み進めながらハラハラしました。


2万字弱の少し長めの短編ですが、長いと感じない丁寧な作品です。
ラストにもしっかり仕掛けがあり、おおと思わされました。
虫が大丈夫な方であれば、オススメです。

その他のおすすめレビュー

山本倫木さんの他のおすすめレビュー908