第6話
ー夜ー
俺達はずっとゲームをしていた。
和哉「もう夜かよ…本当に帰って来ないんだな…」
神谷「…うん。毎日こんな感じ。だからゲームが友達みたいな状態だね…笑」
和哉「…」
神谷「そうだ、橋本君はさ…もしあと7日で世界が滅亡するってなったら…残りの時間で何する…?」
和哉「…!」
神谷「もしかしてさ…」
神谷は和哉に向かって
スマホの画面を見せる
和哉「あっ!!!」
神谷「…来てたんだね…橋本君にも」
和哉「信じてるのか…?」
神谷「僕?笑 そうだね…信じてるよ
あと橋本君も信じてるから、らしくない行動したんじゃないかなって笑 なんとなくだけどね…!笑」
和哉「…」
神谷「あと6日になってたよね…残りの時間でやりたいこと決まった?」
和哉「…いや…そんな急には…」
神谷「僕は決めたよ」
和哉「え?な、なんだ!?あれか?ゲームこんだけ強いから大会で優勝とかか?」
神谷「そんなんじゃないよ。」
和哉「じゃあなんだ?笑」
神谷「馬場組を殺す。」
和哉「…は…?」
何を…言い出してんだこいつ…
神谷「僕、橋本君が殴られてる時わざと近寄ったのはね、瀬戸のカバンの中にGPS入れるためだったんだよ。」
和哉「…え?」
神谷「あいつガサツだから。いちいち中身確認してないみたいで、しかもあの日は学校終わりにどっか行く予定だったのかな。プライベートのカバンだったよ。神様は僕に味方したのかと思ったよ…!ほら、その証拠に見て見て!ほら!動いてるでしょこれ!」
和哉「…ちょ…」
俺の慌てぶりも無視して話し続ける神谷…
神谷「しかも、心霊スポットに今日は行くらしいよ。金曜日そうやって話してるの聞いた!しかも馬場、矢田、金田、そして瀬戸の4人で…!こんな偶然ある!?笑」
和哉「…」
神谷「僕の親、帰って来ないから。車とか平気で僕も何回か運転してた。慣れてしまったんだ。いけないことしてるのは分かってるけど、誰でもいいから見てほしくて、褒められたくて色々やった上での延長線上なんだけどね…こんな所で役に立つんだ…!今日なら暗い山中で…みんな轢き殺せるよ。」
和哉「ま、待てってお前!」
神谷「何?どうせ滅びるんだよ?捕まったとしても数日で済むじゃん。なんだかワクワクしてきたね!」
いつもの神谷よりも
生気を宿した目をして、イキイキしてやがる…
和哉「…殺すのは…流石に…」
神谷「…別に、あいつらはここでしっかり轢き殺せば痛みは一瞬で済むじゃないか。僕が毎日受けてきた痛みを感じる時間よりうんと短くて済むじゃないか。」
和哉「…だとしても…」
神谷「最後くらいはスッキリしたいよ。地球滅亡するなら…どうせならいつもは出来ないことをしてみたくない?…みんなと同じだよ。」
俺に、神谷を止める権利は、無い気がしたんだ。
こんな気持ちを助長させたのは
いじめをうけてる神谷をずっと見過ごしてきた
俺のせいでもあるんだ…。
それに…思ってもみなかった
ありがちなこういう
くだらない質問をした時に
大抵はハッピーエンドや夢を語るんだ
神谷にとっては…
これが夢だったんだ
憎悪の念に駆られている人に対して
あと7日間で世界が〜なんて質問を
していないだけで、本当は一定数
こう思っている人間がいるかもしれない
そんな事考えもしてなかった…
だけど神谷は今…
1番幸せそうな顔をしている…
和哉「…」
神谷「橋本君…一緒についてきてくれる?」
和哉「…俺は…」
神谷「今も急な誘いだったね…ごめんね…」
止めなきゃいけない…
車内で落ち着かせるか…?
神谷を止めないと…
でも…止めるような事なのか…
神谷の状況的に…
殺されて当然の奴らなんだぞ…?
殺すのはよくない…って
じゃあ馬場達のやってる行いは…
よくないって分かってるのに
俺は止めないじゃないか…
ー[誰も傷ついて欲しくないから…]ー
姫咲さんのあの発言は…
馬場組も含むのか…?俺は…
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