わたしの職場の幽霊を紹介したい!

クライングフリーマン

わたしの職場の幽霊を紹介したい!

 ================= 基本的にフィクションです ============

 今日は、会社見学に5人来ていた。

 5人同時。集団面接だ。

 部長の私は、大きなテーブル越しに、面接試験官を紹介した。

「相談役の、勇冷男です。」

「勇冷男です。よろしく。」

「会長の、勇礼威班です。」

「会長の、ユーレイはんや。よろしゅうにな。」

「社長の、勇郷東です。」

「社長の、勇郷東だ。緊張しなくていい。」

「副社長の、勇玲子です。」

「勇玲子です。副社長って呼びなさい。」

「そして、専務の、勇漢那です。」

「専務です。同族会社だけど、どうってことないよね。」


 見学学生1「面白い社名なんで、応募しました。内定貰えると嬉しいです。」

 相談役が尋ねた。「面白い社名?」

 見学学生1「ゆう冷食ですよね。」

 会長が尋ねた。「食べたことあるの?」

 見学学生1「こ、これから。」

 見学学生2「工場の作業員ですよね。『事務職』『営業職』の欄が無かったから。」

 社長が尋ねた。「本当にそう思う?ファイナルアンサー?」

 見学学生2「ふぁ、ファイナルアンサー。」

 見学学生3「あのー、面接結果はいつごろ?」

 副社長が尋ねた。「いつなら、満足?」

 見学学生3「年内なら、助かります。決まったら、他は断ります。」

 副社長が笑った。「決まったら?もう決まってるのに。」

 見学学生4「もう決まってるんですか?」

 専務が笑った。「ウチはね、内申書重視なの。内申書、知ってるよね。」

 見学学生5「ひょっとしたら、全員合格とか・・・。」

 部長が笑った。「んなわけないでしょ・・・なあんてね。目の前のボタンを押して下さい。」

 皆は、戸惑いながら、目の前のボタンを押した。

 すると、大きなテーブルにLEDの破線状のランプが点滅し、目の前の面接官の前に続いて行き、各面接官と学生達の前のボタンが点滅した。

「かぶり」は無かった。

「おめでとうございます、全員合格です。明日から、重役の通訳兼奴隷をして貰います。給料は、母国に振り込まれます。ようこそ、『いさむれいしょく』へ。」

 私は、精一杯祝福した。

 船は、もう沖に出ていた。


 ―完―



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