助けて、ヒーロー!
第1話
市民「早くヒーローを呼べ」
職員「お名前とご住所の方お聞きしてもよろしいですか?」
市民「千葉県木更津市前川1-77-10、奈山だ」
職員「申し訳ございません。お客様、これまで救助料を3回滞納されてますので無理ですね。もしかして、生活保護で生活されています?」
市民「は? なんで正義の味方がわざわざ金なんか要求するんだよ? つーか、俺がそんなに貧乏なわけねぇだろ」
職員「つまりは、生活保護で生活していてやむを得ず払えなかったというわけではないんですね」
市民「そうに決まってんだろ」
職員「……なのに、たった1000円の救助料を払わないんですね」
市民「1000円はたったではないだろ」
職員「市民はたった1000円しか払わないのに、ヒーローは命懸けで戦ってくれるんですよ? ヒーローは痛みに耐え、苦しい中でもがんばって戦っているんです。だけど、市民を助けてもお礼も言われず救助料すら払われない。可哀想ですね」
市民「いや、お礼は言ったぞ」
職員「そうですか。ですが、担当者によれば、『市民の奴隷のくせに来るのが遅えんだよ。それなのに救助料を要求するのか? お前みたいな奴はとっとと怪人に殺されちまえ』と暴言を吐かれた上に殴られたと報告がありましたけど。しかも3回行われた救助の際に3回とも。本当にお礼言ったんですか?」
市民「言った」
職員「本当に? ヒーロー、ボディカメラ付けてますよ?」
市民「わかった。謝るし、救助料も払うから助けに来てくれないか?」
職員「無理ですね。お客様、ブラックリストに入っておりますので」
市民「ブラックリストの要件が緩すぎるだろ。 きっと、俺みたいにヒーローに見捨てられた可哀想な人間が他にもたくさんいるんだろ?」
職員「いないですよ。お客様が初めてです」
市民「は?」
職員「ブラックリストの要件は5つありまして、これが全部当てはまってブラックリストに入るんです。①お礼を言っていない。 ②正当な理由がないのに救助料を支払っていない。③ヒーローに暴言を吐いた。④ヒーローに暴行した。⑤これらの行為を3回連続で行った。この5つです。そんなに緩くはないと思いますが?」
市民「じゃあ、これから誰が俺のことを助けてくれるんだ?」
職員「よろしければ、ご自分で戦われてはいかがですか? ヒーローを殴れるくらいなら怪人なんてどうってことないですよ」
助けて、ヒーロー! @hanashiro_himeka
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます