第4話 求人

【日記】


2025年11月15日


今日、ふと元会社の求人を見た。

10月で消えていたはずなのに、また更新されていた。


営業二人の増員。

給料も一万円上げている。

人が来ないんだろう。

そりゃそうだと思う反面、なんか胸の奥がザワッとした。


社員一覧を見ると、女性の人数が“4人”になっていた。

元経理はまだ辞めさせられていないから、あの人がそのまま数字に入っている。

そして一人、見慣れない名前が増えていた。

あぁ、親族が入ったんだな、とすぐにわかった。


そこまで見た瞬間、

なんかイライラしてきた。


親族経営の怖さって、外に出てからの方がよくわかる。

昔から「ブラックだ」と噂は聞いていた。

でも、働いていた時は毎日が必死で、気づかないふりをしていたのかもしれない。


今こうして求人票を見るだけで、

会社の体質とか、動きとか、

そういうものが嫌でも見えてくる。


元経理はまだ苦しんでいる。

その一方で、親族だけが増えていく。

会社は焦っているようで、

結局やることは昔と変わらない。


ただ求人を見ただけなのに、

こんなに心がざわつくとは思わなかった。


“あぁ、自分はまだ完全には終わってないんだな”

そんな気持ちが残った一日だった。

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