第2話:事情聴取①開始

「もう一度、確認するけれど…、君の名前は?」

「またその質問か! しつこいぞ! 何度も申しているであろう。わらわの名はアルテミシアン。魔法王国カインハートの王女にして建国の魔術師ローリエンスの末裔であるぞ!」

「えっと…、君は、そのカインハートという場所に住んでいたのかい? 日本にあるのかな?」

「ニホン? ニホンとはなんじゃ? わらわに教えよ。」

「日本は、今、君がいるこの国だよ。見たところ、君の顔立ちは日本人みたいだし、日本語を喋っている。でも、君が住んでいた場所は日本じゃないのかい?」

「国? 国とは我が王国の事ではないのか? 我が王国の他にも国があるのか?」

「うーん…。質問を変えよう。君はその王国の、王女様だったんだね? 君の両親は?」

「そうじゃ! わらわは王女じゃ。父も母も城に住んでおる。二人とも、わらわにとても優しいのじゃ。早く帰りたいのう…。」

「どうして君は、えっと、日本に来たんだい?」

「うむ。それが覚えておらんのじゃ。気がついたら、見た事もない奇妙な場所で、奇異な格好をした群衆に囲まれておったのじゃ一体わらわの身に、何が起きたのか…、わらわに教えよ!」

「うん。僕らもそれを調べているんだ。」

「ならば早くせよ! わらわは一刻も早く城に戻らねばならぬのじゃ!」

「何故、早く帰らなければならないんだい?」

「今、我が王国は魔族に攻められておるのじゃ。魔族は王国に強大な魔物を送り込み、我が国に民を根絶やしにしようと企んでおるのじゃ!」

「そ、それは大変だね。」

「うむ。大変なのじゃ。わらわが王国を守らねばならぬのじゃ!」

「君が、守る? どうやって?」

「わららは偉大な魔術師ローリエンスの末裔である。わらわが戦わねば、王国は魔物に蹂躙されるのじゃ。その為にわらわは幼き頃から魔法の修行をしてきた。今や、我が王国の運命はわらわの魔法にかかっているのじゃ!」

「君が魔物と戦うのかい?」

「うむ。そうじゃ。魔物は城の中にある大鏡【ビジョン】を通してやってくる。わらわはその【ビジョン】から迫り来る魔物を魔法を使って倒すのじゃ。」

「ビジョン?」

「そうじゃ。【ビジョン】じゃ。【ビジョン】から現れる魔物を倒す事で、【スコア】が得れるのじゃ。」

「スコア?」

「うむ。【スコア】は、魔物の魂のエネルギーと言われている。その【スコア】の力は国に力を与え、民を照らす希望の光となるのじゃ。」

「じゃあ、君は、ビジョンから迫る魔物を倒してスコアを得ている、と?」

「そうじゃ。おぬしは理解が早いのう。わらわは国に迫る魔物を倒し、国を豊かにしているのじゃ。それが天に定められたわらわの使命なのじゃ!」

「…。」

「…早く…」

「え?」

「早く、帰りたいのう…。」


(事情聴取①終了)


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