魔法少女の見る夢は

Yukl.ta

第1話:異世界から来た『漂着者』

異世界なんて、あると思うかい?

例えば、剣と魔法で魔物を倒すファンタジー世界。

例えば、銃撃飛び交う大戦中にある戦禍の世界。

例えば、異能の能力者が跋扈するサイキックSFの世界。

例えば、邪悪な野望を抱く悪魔達が犇めく、絶望支配する最悪の世界。

そんな、理解の不可能な世界が現実に存在していると思うかい?

自分で言うのもなんだが、俺は極めて現実的な人間だ。

でなきゃ、警察で捜査官なんてしていない。


ところが、だ。

最近、奇妙な噂を耳にした。

『漂着者』

この世界ならざる異世界から、この世界に流れ着く者。

そのような人間がいると言うのだ。


まさか、そんな者達がいる筈が無い。

…この国では毎年、生死に限らず500人程の身元不明な人間が発見される。

その中に、異世界から流れ着いた『漂着者』がいるとでも言うのか?

まさか! 馬鹿らしい!


そう思っていた、そんな時である。

街中で、一人の少女が保護された。

しかし、その少女は、

まるで西洋の貴族が身につけるような豪奢なドレスを纏い、

煌びやかな装飾の施された銀杖を手にして、

聞いた事も無い言葉を織り交ぜながら、

「ここはどこじゃ?」「そなたらは何者じゃ?」「早く城に帰りたいのじゃ」などと訴えているらしい。


ただのコスプレした家出少女だろう。最初はそう思っていた。

彼女は今、警察所内の特殊保護室にいる。

俺と相棒は、これからその彼女に事情聴取を行う。


そこで俺は、

件の『漂着者』の存在を…、異世界の影を、垣間見る事になるのだった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る