第23話 光と闇の果て
黒い影が再び咆哮(ほうこう)し、神殿は崩れかけていた。
月光が差し込む中、柊(しゅう)と陽介(ようすけ)は肩を並べて立つ。
「……もう逃げない!」
「俺たちは必ず、闇を越える!」
仲間猫たちが円を描くように周囲を取り囲み、最後の力を注いで結界を張った。
その中央で、二人の胸の光が重なり合う。
◇
闇の本体は黒い腕を振り下ろす。
柊(しゅう)は白銀の爪で受け止め、陽介(ようすけ)が背後からその腕を支える。
「ご主人さま、もっと強く!」
「わかってる!」
二人の力がひとつになり、闇を押し返す。
だが闇は嗤(わら)う。
「人間が王子の力を縛る……お前は結局、孤独だ」
「違う!」
柊(しゅう)が叫ぶ。
「僕は一人じゃない! 人間だからこそ……僕のご主人さまなんだ!」
その言葉に応えるように、陽介(ようすけ)の胸から光が溢れ出す。
二人の光がひとつに溶け合い、まばゆい白い輝きとなって広間を照らした。
◇
闇と光がぶつかり、神殿全体が震える。
仲間猫たちが祈るように声をあげる。
「柊(しゅう)……!」
「ご主人さま……!」
重なった鼓動が最後の一撃を導く。
「これで――終わらせる!」
爆発的な光が闇を貫き、黒い影は悲鳴と共に崩れ去っていった。
◇
静寂の中、差し込む月明り。
柊(しゅう)は息を切らしながら陽介(ようすけ)の腕に寄りかかった。
「……ご主人さま……勝ったよね?」
「ああ。俺たちで……闇を越えた」
二人の視線が重なり、確かな絆がそこに生まれていた。
――光と闇の果てに、ようやく辿り着いたのだ。
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