5話〜もうなんでもいい〜
//SE 尻もちを搗く音
「いったぁ……先輩?」
//SE 人のざわめき
「あはっ、あはは!人が、人がたくさんいる。あっはは。戻ってきちゃった。ははっ。あんなに、あんなに、苦労してっふふ、苦労して、行ったのに。あははぁ、ばかみたい。わたしぃ、馬鹿みたい。はははっ、ふふっ。あはは」
「先輩やったね!私たちちゃんと戻ってきたんだよ!ふふふ、あはは。先輩、やったんだ!戻って、戻ってこれた!あはははっ、せんっぱい、先輩、ハイタッチしよ、はい、たっちって、……先輩?」
「ええ!めっちゃ泣いてるし!なんで?全然そんな様子見せてなかったじゃん!」
「うわっ、号泣じゃん。ハンカチ、返すから、拭こうね」
「ふふっ、あっはは。なぁんだ。先輩もちゃんと怖かったんだ。……うん、ふふっ。確かに化け物ものすごく怖かったですよね。だから、早く帰りたかったの?あははっ、そ、っふ、そうなんだ」
「えっ、はい。なんですか。急に真面目になって。怖いんですけど」
「はぁ?わたしのことを真剣に考えたいってなに?キープにさせろって宣言?」
「違うって言ったって信じられないよ。大体、私のこと怖がってたじゃん!まぁ。確かに私も雰囲気にのまれて心の奥底に留めておきたかった事も言っちゃったけどさぁ」
「びっくりしただけって、何に?」
「はぁ?夢ぇ?なにそれ。夢に出てきた私と同じ言動をしたから驚いただけってこと?言い訳にしちゃぁ、下手過ぎない?……ああ、だからこそ本当だってね」
「はぁ……。同情なのかもしれないけどさぁ、もう、なんでもいいや」
「先輩がわたしのこと好きになろうとしてくれてるんですよね……すごく、すごくうれしいです」
「だから、それがキープ目的だとしても、気まずいから今だけ入っているだけだったとしても、先輩がわたしのことをおもってくれるのであれば、なんでもよろこんじゃうもん」
「だから、もうなんでもいい。先輩なら、なんでも」
両想いにならないと降りられない電車に閉じ込められた 一張蘭子 @ichoolnko
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