繰り返される朝に生まれた違和感

タイトルの通り、SFの形を借りた哲学的な物語です。
静かな朝から始まり、同じ2月29日の時間が繰り返されていく。
通知音やポトスの香り、わずかにずれていく描写が丁寧で、緊張感が増していきます。

情報で構築された社会の中で生きる少女。
感情を持たないはずの彼女が、青年との出会いをきっかけにわずかな変化を見せる。
そこに人間とは違う意識の芽のようなものを感じました。

終盤の研究室の場面では、世界の仕組みが明らかになり……
物語の意味を察すると同時にぞくっとしました。

冷静な筆致で「考える存在」を与えた展開が印象的でした。