第六話 入江機関の地下

錆びた鉄の階段を降りると、そこは入江機関の地下研究室のような空間だった。

壁には無数の計器、破れた資料、そしてカプセルの残骸。


沙都子が青ざめた顔で一枚の書類を拾い上げた。

そこには、こう書かれていた。


「実験対象:古手梨花」

「副対象:北条沙都子」


沙都子はその場に崩れ落ちた。「やっぱり……! 私は、梨花を……」


梨花は必死に彼女の手を握る。「違う! これは……私たちが知らない誰かの仕業よ!」


レナは黙って天井を見上げた。「……ねぇ、聞こえる? また鳴ってる。」


鐘の音は、すぐ近くから響いていた。

中央の制御室の奥、黒い装置の中から。


そして、そこに映し出されていたのは――

何度も死んでは繰り返す、梨花の過去の記憶だった。


惨劇に終わるたび、鐘の音が鳴り響き、その映像はループを閉じ込めて再現していた。


圭一は叫ぶ。「これは……お前の地獄を、ただ利用してるだけじゃねぇか!」


梨花は震える唇で答える。「これが、“終響”の正体……?」

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