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今朝は比較的規則的な時間に目覚めた。衛星基地の簡素なベッドだが、体力の消耗が激しいため、深く眠れたようだ。昨日までのフォースの異常な高まりによる疲労感は残るが、体が徐々にこの新しい力の使い方に慣れ始めているのを感じる。


簡単なストレッチと呼吸法を行う。ジェダイの瞑想ではない。ただ、肉体の緊張をほぐすための、純粋な運動だ。この冷たい基地の空気は、コルサントの湿気た空気よりも、いくぶんか心地よく感じる。


朝食は、残りのレーションパックを消費した。今日は一日、基地の電力系統のメンテナンスと、貨物シャトルに搭載しているハイパードライブの調整に時間を割くことにした。


シャトルは中古で買ったため、整備が必要だ。ジェダイの船ではないため、私が自分で手を加えなければならない。この機械いじりこそが、私の最も得意とするところだ。


電力システムの古い配線を新しいものに交換し、ハイパードライブのナビゲーション・コンピューターのバグを修正した。この技術的な作業に集中している間は、パドメへの不安も、シスの知識への罪悪感も、一時的に頭から消え去る。私はただのエンジニアに戻れる。昼食も基地のレーション。食後は、持参した古い技術書を読んだ。これは、私が少年時代から読んでいた、様々な文明圏の宇宙船設計の理論書だ。午後は、基地の周囲を巡回した。廃墟とはいえ、念のため外部からの侵入がないか、そして私が設置した通信スクランブラーが正常に機能しているかを確認した。


基地の周辺には、野生のスカベンジャーが数匹いただけだった。私はフォースで彼らを遠ざけるだけで、彼らを傷つけることはしなかった。私がダークサイドの知識を使っているのは、あくまでパドメを守るためだ。無意味な殺生は必要ない。


しかし、この基地で完全に一人であるという事実は、警戒心を常に高める。誰かに見られているのではないか、追跡されているのではないかという疑念が、私の背中を走る。誰かを信用できないという感覚が、ジェダイ聖堂にいた頃よりもずっと強くなっている。


衛星基地の作業は順調に終わった。ハイパードライブの調整が完了したことで、明日にはこの場所を離れ、シスの遺物調査の次の目的地へ向かうことができる。議長は、より遠い辺境の惑星を指定している。


私が行うこと、そして目指していることは、あまりにも重い。だが、私の行動はすべてパドメに繋がっている。この秘密の任務を無事に終え、力を手に入れ、彼女の元へ帰ること。それだけが、今の私にとっての唯一の目標だ。今日の日常的な作業が、明日からの非日常的な任務のための土台となる。私は、この旅にすべてを賭けている。

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