98日前
夜明け前に聖堂の庭園を一人で歩いた。コルサントの人工的な光も届かない、静かな場所だ。この静寂の中で、私は自分の内側から湧き出る力の渇望を、より明確に感じた。この力があれば、私は何も恐れずに済む。ジェダイ・コードが「執着を捨てるべきだ」と教えても、愛するものを失う恐怖こそが、私にとっての最大の真実だ。
朝食は抜きにして、すぐに訓練場に向かった。アソーカが去って以来、私から訓練を受けたいというパダワンは少なくなったが、今日は若いジェダイ・ナイトの何人かと合同訓練を行った。私は彼らに対し、戦闘技術だけでなく、より強力なフォースの使い方、つまり「結果を出すこと」に重点を置いて指導した。オビ=ワンが訓練場に現れ、私の指導法を見てすぐに注意された。
「アナキン、彼らに焦りを植え付けてはいけない。力は平静な心から生まれるものだ」
「マスター、平静さだけでは戦争は終わらせられません。必要なのは、決定的な力です」と私は口論してしまった。彼は何も言わずに去ったが、その失望の表情が私の心を刺した。私は、この銀河の現状を彼らよりずっと深く理解している。なぜ誰も私を理解しない?
午前中は聖堂の整備班と協力し、新しい長距離通信システムの設計を指導した。技術的な問題に取り組むときは、頭の中の不安を一時的に忘れることができる。複雑な計算や回路の中にいるときだけ、私は純粋なアナキン・スカイウォーカーに戻れる気がする。
設計が成功し、通信速度が格段に向上したとき、整備班のクローンたちから賞賛の声が上がった。この達成感は心地よい。私は技術者としても、ジェダイとしても、銀河に貢献している。それなのに、なぜ私は満たされないのだろう。
午後の公務で、戦況報告のため再び元老院を訪れた。議事堂はいつも以上に熱気に満ちていた。クローン戦争の終結が近づいているという高揚感と、それに伴う不安が入り混じっている。元老院の冷房が強く、急に悪寒が走った。昨夜の不眠と、フォースの酷使が祟ったようだ。立っているのがやっとで、頭痛もひどくなってきた。
公務が終わるのを待たず、私は警護役のジェダイに任せて退出しようとした。その際、廊下でパルパティーン最高議長と鉢合わせした。
彼は私の顔を見るやいなや、即座に言った。「アナキン、君は限界だ。私にはわかる。少し休養を取るべきだ。だが、その前に一つだけ、私に秘密の任務を手伝ってはくれないかね?」
この言葉に、私の心臓は高鳴った。体調は最悪だが、議長の頼みは断れない。彼は私を信じている。そして、この「秘密の任務」こそが、私にパドメを守る力をもたらすかもしれない。
パドメには、体調が優れないため今夜は会えないとホロコールで伝えた。彼女は心配していたが、私は大丈夫だと嘘をついた。
聖堂の自室に戻り、一人で簡単な食事を済ませる。疲労と頭痛で、今日は瞑想も訓練もする気になれない。
窓の外を見上げると、コルサントの上空には分厚い雲がかかっていた。私の心のように重く、暗い。
議長が私に何を求めているのか、まだはっきりとは分からない。だが、彼の提案は、ジェダイの道と、私の愛する者を守る道の分かれ道であることは感じている。私は、もはや「良いジェダイ」であろうとすることよりも、パドメの安全を優先するだろう。この決意が、私をどこへ連れて行くのか。私はその答えを知ることを、恐れていると同時に望んでいる。
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