5愛を許して

初めてあなたに会った時

胸が掬い取られる気持ちがした

あなたはわたしを側に置き

わたしを育てて下さった

あなたの笑窪を見る度に

じんわりと

胸の中に

温かいものが広がった

一緒に飛んだ縄跳び

木漏れ日の下で食べたサンドイッチ

昼下りの勉強

おやすみのハグ

ありふれた日常が

とても幸せだったあの頃

それは当たり前だと思っていた

いつまでも

永遠に続くものだと思っていた


あなたがいなくなった

五月雨の夜

泣きながら

あなたの名前を呼んだけど

あなたは帰っては来なかった

あなたがくれたサファイアの髪飾り

あなたの匂いがする洋服

あなたの万年筆に

あなたの勲章

そして私は気づいたの

この

胸に穴が空いたような感覚は

愛しさだということに

あなたがいなくなって

初めて気づいたの

あなたがくれた愛や優しさに

初めて知った

私はずっと

あなたのことを

愛していたということを

だから望んでしまう

あなたがもう一度

わたしの前に現れてくれることを

そんな奇跡を願わずにはいられない

重くて

祈りにも近い

あなたへの愛を

どうか許して

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