第2話
5歳になった。ウンチも一人でできる。
でも、お腹はすぐすくし、涙も流しやすい。
人間の構造的に仕方がないので、今は何も感じない。
子爵家は思ったより良かった。はじめは王族とか公爵とかの地位寄越せよと思ってたけど、父さんの話によると、公務がついて回るから子供には辛いとのこと。
一方、こっちは田舎の貴族。父さんの仕事も他より少ないのに、僕にある仕事は町の人との交流だけ。
でも貴族なのである程度の金と権力はある。
僕にとっては最高の環境だ。
ところで、最近貴族としての勉強が始まった。することは言葉遣い、算術、騎乗、剣術、魔術、国の歴史、主要貴族の名前を覚えること+寄親の業務内容、家の業務内容。
貴族の名前は面白くない。ひたすらにややこしい。同じ名前使いすぎ!
でも僕と同じ名前はなかった。何でも由来が夜で煌びやかじゃないからだそうだ。
夜っていいじゃん! かっこいいじゃん!
でも、騎乗、剣術、魔術は面白い。どれも日本では味わったことが無かったから。
ああ、言い忘れていた。僕には年の近い妹がいる。ていうか双子だ。
普通なら忌み子だ何だ言われるけど、此処は捻くれてない田舎。両親もそんな事気にしない。もちろん僕も。
だからそんな事言うやつは居ない。ここでは、双子は「お得な2倍の労働力」という考え方なのである。
そんな妹は容姿端麗、成績優秀。白い肌に黄金色の美しい長髪、翡翠色の瞳。親が違うんじゃないかと思うほど僕とは似ていない。
一般教養は習い始めて1年で教師に「もう教えることはない」と言わせて、剣術、騎乗も一般以上文句無しにすごい。
名前もディア・ノイトラールと昼を冠している。
まるで、天に照らされたとでも言うべきように。
だから外ではお姫様と言われてたり、言われてなかったりする。
でも、彼女は僕の部下1号、コードネームも決めちゃった。
何で優秀なディアが僕の部下にって?それは少し前に遡る。
◇
お姫様にも苦手な物がある。それは魔術だ。
周りは他が優れているから時期に良くなると言われてるみたいだけど、本人は焦っている。
だから、魔術、剣術、騎乗の成績だけはいい僕にしばしば助けを求めに来る。
「兄様兄様、魔術を教えて。」
可愛い笑みを向けてくる。
そんな妹の頼みを断る兄が何処にいるだろうか?いや、居ない。
「いいよ。でも毎回言ってるけど’’兄様‘‘呼びはしなくていい。双子だし、ディアの方が優秀だから。」
「えー。ヤダ、だって兄様は兄様だし。」
「じゃあ、学園に入るまでな。」
「やった。」
フッ、掛かったな僕の華麗な
人生2周目舐めるなよ。
気を取り直して、魔術を教えることに。
魔術は簡単だ。スーッと身体から外に出してやればいい。
詠唱? そんなのは要らない。時間の無駄無駄。
でも、皆してないから詠唱する。今はヤバい組織に狙われたくないから。
「よく見とけよ?」
「力の根源たる精霊たちよ我に力を与えたまえ!‘‘
フフ、我ながら完璧な偽装。偽装度100%添加物なし。
これを見破れるものは存在しまい。
「ねぇ兄様、前から思っていたんですけど、どうやってきちんと詠唱せずに魔法を発動しているのですか?」
「ッ!」
何! 見破られただと? いや、落ち着け、詠唱は完璧だった。カマをかけているに違いない。きっとそうだ。
「なんのことだい?」
「隠さなくて良いですよ。誰のも言いませんから。あの詠唱、端折りすぎでしたよ。」
歯を見せて楽しそうに笑うディアとは引き換え、引きつった口角をもとに戻すのに苦労した。
あれー? 詠唱式間違ってた僕?
「やっぱり。そうだったんですね。あ、誰にも言わないのは本当ですよ、兄様。でもそのかわりに、私とずった一緒にいてくださいね?」
二重だった。僕より巧妙に
クソ! ブラコンで良かったよ本当に。
◇
というわけだ。これからは、僕の妹であり、僕の夢の国の実質的リーダーだ。
頑張れ!
そんな妹と共に色々学びつつ、学院―魔剣士学院への入学準備をあと、7年でしないといけない。
学園イベントは楽しまないとね!
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