中立なら何をしたっていいはずだ!

あーる

第1話

 検索「死にそうな時何が起きる?」


 検索結果「走馬灯が見えます」




 ◇




 中立。それってとても良いことだ。既存の勢力のどちらにも加担しない。だからこそ、どちらからも害されない。


 個人として新たな勢力。第三者。...なんてかっこいいんだろう。


 僕は中立に憧れを感じた。


 でも中立を貫くのなら、他よりも力を持っていないといけない。


 だって、いつ敵になるかわからない奴を敵じゃない間に消したいと思うのは仕方がないから。


 問

 中立を貫くならどうすれば良い?


 解

 力を持てばいい。


 そんな理由で僕は日々努力をした。僕最大の敵である勉強―義務教育と戦い、親の圧力に負けて塾にも行った。


 体力を効率的に上げる水泳、護身用の剣道、柔軟性を高める体操etc...まぁそんな感じにガンバった!


 でも、そんな頑張り虚しくnowで死にそう。


 何故って? 車に撥ねられて身体が冷たくなっていくのを感じるから。


 遠くから、ぴーぽーぴーぽーって音が近づいてくる。たぶん助からないと思うから帰っていいよ。


 信仰してないけど、とりあえず神に願う。


「嗚呼、神よ次の命があるのなら、ラノベのように異世界転生させたまえ」


 よし、これで大丈夫!


 え、何でそんなに楽しそうなのって? 案外死ぬときに未練を感じなかっただけだよ。個人差があるかもしれないけど。


 でも、宗教って死んだあとのためにあったでしょ? 


 僕の場合、異世界に行って魔術とか気術とか何でもいいけど、僕が生まれたこの世界にない力のある場所に行きたいってだけ。


 死ぬときくらい嫌なことは忘れたいし!


 あ、だんだんいしきがとおのいていk...


(神様、異世界転生よろしk...)




 ◇




 とまあそんな感じで死んで、そんな感じで転生しました。はじめまして、僕の名前はノクス・ノイトラール。0歳。ノイトラール子爵家長男。


 将来の夢は独立国家を...おっと反逆罪に処されたくないからここまで。


 時代はだいたい中世ヨーロッパ! みたい。貴族階級があるし、服装もそんな感じがする。


 でもそんな事はどうでもいい。魔力のような物を感じられたから。


 ラノベのおかげで飲み込みも早いからすぐに此処が異世界であると、魔力があると認識できた。


 魔力を認識できたのならするべきことは一つ。


 そう、鍛錬だ。中立をなのって暴れ...(ゲフンゲフン)第3勢力になるには力がいる。


 否定されないための力が。


 魔力の扱い方は簡単だ。身体に通して強化、何か事象に変換して放出の2つだけ。


 何処ぞの天才が言ってたエネルギー何とかの法則に則ってるのか?


 まあこの力が地球にあれば、エネルギー問題全て解決できることに変わりはない。


 そんな魔力はラノベ―異世界転生系の読者である僕にとって赤子の手をひねるように簡単だった。(僕も赤子だけど)


 でも、そんな魔力があっても赤子には変わりない。


 僕の意思に反してすぐ泣くし、お腹も空く、そしてウンチも一人でできない。


 元イケイケ高校生な僕にとってそれはとても恥ずかしいことだった。


 魔力強化でお腹を強くしようが、瞼の筋力を上げようが、肛門の筋力を上げようが出てしまう。


 だから諦めた。今の僕はノクス・ノイトラールなのだから。


 もっと成長するまで勉強から解放された今を楽しみつつ、魔力の強化でも頑張ろうではないか。


 そして、中立を名乗ってブイブイゆわせてやる!







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る