知っているのは私だけ

クライングフリーマン

知っているのは私だけ

 ================= 基本的にノンフィクションです ============

 文雄はメガネを洗っていた。そして、悩んでいた。

 皆から『◎◎メガネ』と言われたからだ。

 眼鏡屋は、これで五軒目だ。

 よし。これで、大丈夫。

 翌日。うん。よく見える。

 朝食の後、妻は『広島焼』を出してきた。

「こんなもん、食えるか!!!!!!!」

「でも、あなた。写真がいるそうよ。食べている写真。」

「いいじゃん、後で吐き出せば、いつものように。」と、階段に寝そべって、息子は言った。

「仕方がない。撮ったら合図しろ。」

 そう言って、文雄はイヤイヤ食べた。

 そして、新聞を読んだ。

 新聞は6紙とっている。

 どれもこれも『◎◎メガネ』と書いている。

「一体、どこがいけないんだ!!」

 文雄は、メガネを床に投げつけた。

 そこへ、走ってきた娘が踏みつけた。

「あ。パパ、ごめーん。」


 仕事場で。

「どうされたんですか?」と、周りの人間が言った。

 サングラスをしていたからだ。

「うっかり、落してしまってね。新しいメガネを買うよ。」

「思い切って、外国産のメガネをされたら?」部下の一人が言った。

「ああ。いいね、それ。どこかツテがあるの?」

「はい。勿論です。」と、部下は言った。

 何て名前だっけ?し・・・しげる、か。何しげる?まあ、いいや。


 帰ると、孫が出迎えた。

「おじいちゃん、『◎◎メガネ』って、何?」

「あっち、行ってなさい。」

「うえーんん。」

 孫は走り去った。


 翌日。部下が、新しいメガネを持って来た。

 なかなかいい。

「どこ製品?」「××国製品です。」

「これで、揶揄われないな。」


 昼休み。SNSを読んでみた。

『◎◎メガネ』の文字が大きく浮かび上がっていた。

 何でだ。私は近眼だ。近眼の者がメガネをかけて何故悪い?

 トイレで鏡を見た。

「コンタクトにした方がいいのかな?」


 ―完―


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知っているのは私だけ クライングフリーマン @dansan01

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