動画配信サイトの映像記録
・動画配信サイトの映像をダウンロードしたもの
・既に元動画自体は削除されていて見ることは出来ない
・運営チャンネルなどから判明していることを下記に補記する。
※男性1人、女性2人の配信グループで『Dジェンド』を名乗り活動していた。
※通称はそれぞれ、ミッチー、マミ、クニクニ。
※動画の内容は、お化けが出る、といういわゆる心霊スポットに来てみた、という企画ものである。
※2023年7月14日のアップロード以降、配信活動は確認されていない。
・以下はその最後のアップロード動画を再度録画した内容を文字起こししたものである。
動画スタート
ミッチー「うっわ、まじで暗いじゃん! 街灯すくな! やべー」
マミ「はい、ミッチー。まじでビビってまーす、アハハハ」
ミッチー「いや、これはビビるっしょ。マミ怖くないん? てか、ここどこ」
クニクニ「はい、うまいフリありがとうございまーす。ここは京都? 滋賀? の県境あたりの●●山のトンネル前にきましたー」
全員「いえーい」
ミッチー「心霊スポットかー。あー、まじでやりたくねー……」
クニクニ「お、そういうの見えちゃうタイプですか? ミッチーは」
ミッチー「うーん、実は……」
クニクニ「実は~」
ミッチー「一度もありませーん」
女性2人「「なんだよ~」」
ミッチー「で、ここはどういうところなん?」
マミ「はいはい、ここはいわゆる地元で有名な心霊スポットです。地元で、っていうのは、実は私たちのチャンネルにDMがあってさー。ぜひ、来てくださいって」
クニクニ「へー」
マミ「しかもさー、結構こってんの」
クニクニ「はあ、何が?」
マミ「そのさ、DMの文章なんだけど、全部カタカナなんだよね。そこにここの住所が書いてあって。キットマンゾクシテモラエマスオイシイデス、って書いてあったの。いや、なんか知らないけどめっちゃ怖い感じしてさ。雰囲気あるから企画にしちゃおうって!」
ミッチー「なんだよ、そのオイシイって」
クニクニ「企画的においしいってことでしょ。そこは分かれ」
マミ「まぁ、ともかくこうやってきたわけだけど、トンネル前までとりあえず行ってみよっか」
ミッチー「うー、しゃーない」
嫌々ながら進むミッチーの姿と、それに笑いながらついて行くクニクニの姿が、すぐ後ろを歩くマミにより撮影されている。
ミッチー「怖いなー。えーっと、やっぱ入るの?」
クニクニ「当たり前です」
ミッチー「まじかよ~!」
クニクニ「ほら、早く行こう! 神様仏様お化け様、どうか出て来てくださいお願いします!」
マミ「再生数がかかってるっす。後、企業案件も!」
ミッチー「お化けの話題の時にリアルを出すのはどうなんだよ」
3人がワイワイと騒ぎながらトンネルの入口へと差し掛かる。
その時だ。
???「ヨー……ーオーソー」
ミッチー「え? あれ、今なんか聞こえた?」
クニクニ「 はぁ? ちょっとまじでビビりすぎでしょ。風の音じゃね? あと、山なんだから動物の声くらいするっしょ!」
マミ「あはは」
しかし、今度はもう一度、先ほどよりもよりはっきりとした音が響く。
???「ヨーオーオーソー」
ミッチー「今度こそ、聞こえたぞ!」
クニクニ「私も聞こえた。てか、なんだろ? よーおーおーそー? ぷっ、なにそれー」
???「ヨーオーオーソー」
マミ「よー……おー、こー、そー。ようこそ、じゃない?」
ミッチー「ええー、まじで。トンネルの向こうに誰かいるってことかよ。てか、やっぱり幽霊?」
クニクニ「なわけないでしょ! 地元の心霊スポットなんでしょ? 向こう側にも私たちみたいなのがいていたずらしてんじゃない?」
マミ「だね。てか、取れ高たかいね~。これは当たり企画だわ。ちょっとミッチー、なんか会話してみてよ。未知との遭遇みたいな感じでさー」
ミッチー「いや、まじで嫌すぎなんだけど、はぁ」
ため息をつきつつも、取れ高を意識してか、大きな声でミッチーが返事をした。
ミッチー「えーっと、すいませーん、どなたですかー!」
???「マッテイタ……マッテイタ……マッテイタ……」
マミ「歓迎されてるみたいだよー、あはは」
クニクニ「てか、誰なんだろうね……。えーっと、どうして待ってたんですかー!」
???「ヤマニ、イコウ。シャショクニシヨウ」
ミッチー「シャショク? なんだそりゃ。ああ、社食? 社食って、サラリーマンのおっさんかよ!」
クニクニ「みなさん、すいません! 正体はサラリーマンのおじさんでした~!」
クニクニがビデオカメラに向かって大げさに謝る様子が撮影されている。
マミ「サラリーマンのおじさーん! こんなところにいないで、家に帰らないとだめですよー!」
クニクニ「いやいや、リストラされたおじさんの暇つぶしかもしんないじゃん。かわいそうに。私たち若者が慰めてあげないとねー」
そう言って、クニクニはトンネルの暗闇の方へ向き直る。
クニクニ「はーい、今から行きまーす……。あはは」
ミッチー「ええ、まじで行くのかよ。取れ高ばっかり気にして」
クニクニ「あはは、あはは、あはは、あはは、あはは、あはは、あはは、あはは、あはは、あはは」
マミ「えっと……、ちょっと、クニクニ、さすがに笑い過ぎだって……」
マミが少しひいた様子で言う。しかし、クニクニは調子っぱずれの嗤い声を上げながら、フラフラとした足取りでトンネルの中へ歩いて行こうとする。
クニクニ「あはは! あはは! あはは! あはは! あはは! あはは! あはは! ああああああああああああああああああ!」
突然、クニクニが悲鳴を上げたかと思うと、次の瞬間。
ドゴ!
鈍い音とともに、クニクニが倒れる。気を失っており、ピクリとも動かない様子が撮影されている。
マミ「ちょ、ちょっとクニクニ?」
ミッチー「うわぁ⁉ み、見ろ! 足! 足!」
マミ「え? い、いやぁ⁉」
二人が混乱して喚き声を上げながらも、マミは震える手でビデオを回し続けている。
そこには信じられないものが映し出されていた。
先ほどまで笑顔を浮かべていたクニクニの、下半身……腰から下が失われていたのである。
「足がない⁉ なんで⁉ ひい⁉」
たちまちパニックになった。
先ほどは倒れたのではない。
突如、足が欠けたせいで、胴体が落下したのだ。
マミ「に、逃げないと⁉ ミッチー! ミ……」
マミがミッチーにビデオを向けた。
だが、ビデオのレンズの先にいたミッチーも、いつの間にか地面に倒れている。
幸いなことに、彼については、映像を見る限り身体の部位の欠損は見当たらない。
だが、ビデオの明かりで照らされた地面には、暗闇の中でもわかるほどの大量の血が広がって行くのが鮮明に映し出されていた。
マミ「ひ、ひいいいいいいいいいいい」
ビデオカメラの映像がみだれて、ドン! ガン! という身体をどこかにぶつけているかのような衝撃音が響く。
バタンというドアが閉められる音が響いたかと思うと、ビデオカメラの映像が何回転かした後、さかさまになった状態で静止した。
どうやら投げ捨てられたビデオカメラが誰もいない助手席を映し出しているようだ。
エンジン音が鳴り響き、車が走り出したことが分かった。
はあ、はあ、はあ、という荒い息がしばらく続く。
だが、突然。
マミ「いや!」
マミの悲鳴が轟く。
そして。
マミ「やめて! もってかないで、それは私の大事なカラ……」
キイイイイイイイイイイイイイイイイ!
ドゴン‼
車がぶつかる衝撃音が生々しく録音されていた。
映像はそこで終わっている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます