12:【破天荒】
読み:はてんこう
意味:誰も成し遂げたことのなかった事を成し遂げること
見栄え:★★★★☆(既存の秩序を壊して我が道を行くような凄みを感じる)
残念度:★★☆☆☆(本来は残念な言葉ではないが誤用の方が有名な点が残念)
ギャップ:★★★★☆(字面とのギャップというより誤用とのギャップである)
解説:
前回に続き日常の中に潜む由来を知られていない言葉を紹介しよう。
【破天荒】と聞くと”型破りな人”だとか”大胆で常識にとらわれない人”という意味が思い浮かぶかもしれない。
既存のルールに囚われない人物に対しては尊敬と同時にどこか呆れにも似た感情を抱いてしまいがちであり、純然たる誉め言葉かと言われると微妙なラインである。
しかし、その解釈は誤用であって、本来はまるで異なる意味である。
【天荒】とは本来、古代中国における学問の最高峰、科挙試験の合格者が出たことのない未開の地を表わす言葉である。
その【天荒】を【破】るということは、その地域で初めて科挙試験に合格したということであり、転じて前例のない偉業を成し遂げることを意味する。
本来は性格や生き様を表わす単語ではなく、成し遂げた成果を称える言葉である。
現代において誤用の方が広く知れ渡っている理由は荒れた天を破るという字面のイメージからだろうか?
”未開の地を切り開く”という本来の意味をぎりぎり掠めてはいる気もする。
しかし、科挙試験とは現代日本で言うと司法試験とか官僚の登用試験あたりに相当するため、むしろ既存のルールの範囲内での最高の栄誉とみなした方が適切なのではないだろうか。
字面の印象につられて本来の意味が忘れ去られている点において、破天荒もまた残念な言葉と言わざるを得ないだろう。
とはいえ、誤用であろうと広く知られていて意味が通じるのならそれはそれでよいとする考え方もある。
例えば、【全然】という言葉は本来その後に否定形が来なければならないため、【全然大丈夫】という用法は文法的には誤りである。
確かに公的な文章で用いるには問題があるかもしれないが、筆者個人としては日常会話で使うくらいなら目くじらを立てることもないだろうと考える。
言葉もまた生き物であり、時代に応じて変化するものである。
もしかしたら将来、ギャル文字だとか顔文字だとかアスキーアートだとかが辞典に載る日も来るかもしれない。
少し想像しづらいが、そんな未来を思い描いてみるのも案外面白いものである。
もしもそんな未来が実現したとしたら――
それを成した人物は本来の意味でも誤用の意味でも破天荒であるに違いない。
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