第3話 犬種登録
エルについていく。なんか立派な建物だ。全体的に白い。絨毯だけ赤い。
「廊下が汚れているからその汚いのを止めなさい!」
振り返る。自分が歩いてきた方から床に水滴が落ちてた。気付いたら手が濡れている。最低だ、俺って……。
「ヌキオ、あなたは自分の武器を手にした瞬間から思考がソッチに寄っていってる、でもそれは通常の事よ。欲望を具現化したんだから」
ナニイッてるか分からんがワンとだけ応えた。
「アラ、可愛いワンちゃんねぇ」
僅かなエッチを嗅ぎ取り、駆ける。カケたい!カキたい!!
「涎まで垂らして、でも、ダメ。私にはこの人がいるから」
駆け寄ったオンナの前に屈強な男、漢が立ちふさがる。邪魔だ。
「がるるるるるrrrr」
「これが人間の姿か?欲望の犬にしか見えん、しかも駄犬だ」
強そう。ヤだ。コワイ。エルの後ろに隠れる。
「くぅん……」
「アラ、エルじゃない、お散歩でもしてるの?」
エッチだ。褐色のエッチだ。おっぱいは、小さくは無い。ってか割とある。めちゃくちゃスタイル良い。
「俺あっちのエッチが良い、あっちイキたい」
「ダメよダメ犬!あなたは私の従者なんだから!私も女神になったらアレくらい、いやアレよりもっと大きい……」
喋る板が怒っている。都会ワンルーム一口コンロ用のまな板が。女神になったら?女神になったらデカくなるのか?
「じゃああのエッチなお姉さんは女神なの?」
「違う、けど、彼女はクロワ。私と同じ女神候補よ……」
ご主人様の手が震えている。かわいそう。だから手舐めた。殴られた。
「キビしい躾ねぇ、ワンちゃんが可哀そうよ?」
やっぱりあっちがいい。なでなでして欲しい。前の尻尾を振る。
「今から従者登録しにイクの?それとも犬種登録かしら?従者選びに苦戦しているとは聞いてタけど……ワンちゃん連れてきたらダメじゃない」
エルは悔しさを堪え、震える手を必死に抑えている。小さいのに頑張っている。ご主人様が悲しんでいたら俺も悲しい。尻尾が垂れる。
「行くわよ……」
暗い表情を必死に取り繕おうとしているエルに従う。
従者登録が終わった。綺麗でエッチなお姉さんがいっぱいいたけど、そんな空気じゃなかった。みんなが俺を連れて歩くエルをみて、ちょっと笑ってた。可愛い笑顔じゃなかった。もうちょっとちゃんとしよって思った。明日からは戦闘訓練らしい。床は冷たかった。
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