第二十四話 次なる戦いへ

 目の前に見える黄金色のレバーハンドルを右手に握り、ゆっくりと押し下げる。そのままドアを開けると、今度は明るい空間が舞を出迎える。


 グレーのソファー、茶色のテーブルなどが設置された空間を見渡し、右足を踏み入れる。


 クローゼットのようなものはなく、一面が白色の壁。


「誰もいない……」


 舞はじっと眼前を見据え、言葉を漏らす。


 この部屋に誰もいなければ、この建物内に身を潜める仲間を全員倒したということになる。


 だとすれば、舞の次なる行き先は――。


「もう一つの拠点か……」


 舞の眼差しが鋭くなる。


 もう一つの拠点の手がかりはゼロの状態だ。


「情報収集か……」


 舞は知らぬ間に廊下に置いていたバッグに視線を注ぐと、部屋を後にする。廊下に右足から踏み入れ、バッグからスマートフォンを抜き取る。


「もう五時半か……」


 表示された時刻に言葉を漏らすと、深く息を吐く。


「今日は、ここまでにしよう……」


 翌日の土曜日は授業がない。


「続きは週明けだな……」


 舞はバッグを左肩にかけ、右手にスマートフォンを握りしめ、組織の拠点の一つである白色の建物を後にした。


 

 

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