第二十五話 「ぜったいに組織を壊滅に……」
午後七時八分、舞は帰宅し、玄関のドアを閉める。
「おかえり」
靴を脱いだところで、大地が舞の目の前に姿を見せる。
弟の笑顔に、姉の頬は緊張のようなものから解放されたように一気に緩む。
「ただいま。ちょっと、友達と買い物に行ってたんだ」
表向きの言葉を並べると大地の頭に右掌を置く。やさしくポンと叩くと廊下を歩み、階段を上っていく。
寝室のドアを開けると机の脇に歩み、バッグを静かに置く。
「もう一つの拠点は謎のまま……情報を集めるにしても、どう手段を講じればいいんだろ……」
もう一つの拠点に関する情報は皆無。再び、
舞は自然と腕を組み、唸るような声を漏らす。
「まあ、まずは先生に報告しないと……」
舞は視線をバッグに注ぐと、ゆっくりとしゃがみ込み、ファスナーを開ける。弁当箱を抜き取ろうとバッグの中に右手を入れると、滑らかな感触が指先に伝わる。
舞はその感触が伝わるものをつかみ、目の前に持っていく。
舞が右手に持っていたのは、ミディアムヘアーの女性から受け取ったチョコレートだった。
包装紙を眺める舞の脳裏には、チョコレートを手渡したあの女性の姿がうつる。
舞はわずかに口元を緩め、女性に言葉を届ける。
「改めて、チョコレート、ありがとうございます。ぜったいに組織を壊滅に追いやります。この街を、そして皆を守るために……!」
組織を壊滅させることを女性に誓い、チョコレートを机の上にやさしく置くと、部屋着に着替え始めた。
女子高生ファイター、舞。 Wildvogel @aim3
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