第二十三話 あの女性の正体

 男は大の字になった状態で、鋭い眼差しを舞に向けている。


 そんな男の姿を睨むように見つめ、舞が問う。


「あんたらの組織の目的って?」


 男はそれについてこたえず、ただただ舞に鋭い眼差しを向ける。


 答えを示さない男の様子に、舞は若干の苛立ちを覚える。


 しかし、彼女の脳が冷静になるようにと指令を出す。


 舞は静かに息をつくと、室内の窓にうつる景色を眺める。


 すると、舞の脳裏に中町駅の駅舎前で目撃した光景が流れる。


「あの人、組織の情報を持っているのかな……組織について知っているように話していたし。もしかしたら、あの人……」


 この時、舞の心の中で絡まっていた考えという名の糸が解ける。


 舞は自分なりの答えを導き出すと小さく頷き、睨みつけるような眼差しを大の字になった男に向ける。


「こいつらの組織壊滅に動く組織の人間なのかな……」


 彼女の仲間は無事なのだろうか。


 そして、目の前の男の仲間の人数はどれほどなのか。


 あらゆる考えを脳内で駆け巡らせながら、廊下を挟んだ先に見えるドアの前に向けて歩みを進めていった。


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る