第二十話 「あんたらの組織を壊滅させるまで……」

 廊下を進んでいくと、左手に階段が見える。


 木々の色合いが感じられる階段だった。


「二階には、何があるのかな……」


 舞は右足から階段を上り、踊り場で一度足を止める。視線の先には、二十段以上のステップが見える。


 ステップを眺めていると、どこからか物音が聞こえる。


 舞は周囲を見渡すと眼差しを鋭くさせ、ステップに右足を乗せ再び階段を上る。


 上り終えると、左右に木造のドアが見える。


 左、右と順番に視線を注ぐと、右足から踏みだす。舞が立ったのは、右側のドアの前だった。


 黄金色のレバーハンドルに視線を注ぎ、右手を伸ばす。レバーハンドルのひんやりとした感覚が掌に伝わると、ゆっくりと押し下げる。


 静かにドアを開け、徐々に目の前の景色を広げていく。


 ドアを完全に開け放つと、真っ暗な光景が舞の目に飛び込む。


「電気は……」


 舞が室内に足を踏み入れた瞬間、男の低い声が聞こえてきた。


「よく、ここまでたどり着いたな……」


 舞の眼差しはさらに鋭くなる。


「だがな……」


 男の声からすぐカーテンが開き、窓越しに光が室内に届く。


 舞の目の前には、不気味な笑みを浮かべ、右手を握り締める二人組の男の姿があった。


 舞は眼差しの形を変えることなく両手を握りしめると、重みのある声を目の前の二人にぶつける。


「あんたらの組織を壊滅させるまで戦うよ、私は……」


 舞の新たな戦闘の開始を告げるかのように、やや強い風が窓を叩いた。

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