4.
それから俺はりっぱな陰キャとしてジメジメひとりで生きてきた。
中三の時、ばあちゃんが居なくなった。
「話をつけてきてやるから、おまえは好きに生きな」って言って、それっきりだ。
誰となにを話しに行ったんだか知らん。
まあそのころにはけっこうボケも進んできてたし、山へ迷い込んで帰ってこられなくなったんだろう。もしかしたらまだどこかで生きてるかもな。
そんなわけで高校には行けなかった訳だけど、その頃は特になんも面白いこともなかったから省かせてくれ。
ああ、もともとこんなに長くなるつもりじゃなかったんどけどな。
パーっと遊びに行ける金も時間の余裕もなくて、住み込みの部屋でできることつったらネットくらいのもんだ。当時はまだまだ黎明期の2ch(この呼び方も過去のもんだな)、とくにオカ板に俺は入り浸ってた。
おおらかっていうかバカっていうか、顔も本名も知らない奴らとオフ会が今より盛んに行われてた時代だ。
ま、そこで会ったのが今の相方なわけで。
はじめて会ったときはヒョロヒョロチェックシャツメガネの、あ、いかにもだなって感じで。
でもどっか初恋の看護師さんに似て、きれいな手をしてたんだ。何度か廃墟探索に行ったりするうちに、ああ、いい子だなって思い始めて。
相方もオカ板常連なくらいだからその手の話には抵抗なくてさ、これは深入りしちまうなって思って正直に話したわけ。
俺は因果に絡め取られた血筋で、仲良くなったら不幸になるよって。そしたら相方さん、なんて言ったと思う?
オカルト案件をリアルに体験出来るなんて最高じゃないっスか‼︎—だってよ。
笑っちまったわ。
◯◯(俺)さんに出会ったおかげで不幸にあって死んじゃっても、それ込みで僕の運命なんですよって言ってくれてなあ。
泣くかと思った、つか泣いた。いい子なんだよなあ…。
……で、それから俺にも、去年からいっしょに暮らしてる相方さんにもでっかい不幸はとりたてて起こってない。
さすがの坊主も呪い続けるのに飽きたのかな、と思ったんだけど、最近ふっと考えたんだ。
あ、一応言っとくけど相方さんは男な。
……これって、あんま良くない言い方だけど実質俺が末代ってことに…なる、んだよな。
相方さんと暮らしはじめてそれがたしかになったから、呪いもそこで打ち止めになった……ってことなのかなって。
や、そう考えると合点がいくじゃん。
もしかしたら婆ちゃんはこのことを坊主に言いに言ってくれたんだろうか。
そうであってくれたらいいなって思う。
…………それでさ、ひとつみんなに相談なんだけど。
ほら、国内で同性カップルに特別養子縁組が認められたニュースあったじゃん?
相方さんがね、あれをすごく気にかけてて。まあ俺も一時は諦めてた父親ってやつへの憧れが再燃してきたわけさ。
——なあ、血がつながってなくても末代ってリセットされると思うか?
末代リセット @oden_oishii
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