第4話 まさか? うそだろ?

 「ここは……いったいどこだ?」

 僕は彼らに尋ねたが、誰一人僕の言うことに

返事をしない。

 

「もしかして、殺されるかもしれない?」

 不安で泣きそうになる僕は辺りを見渡すと

あるものが見えた。


 「土器?」

 数個の土器が石壁の自然に形成された窪みに

置かれていたそれは明らかに、教科書でみかける土器だった。


 「あれは、縄文土器か? 

 そうだ、火焔型土器だ」

 僕は思わず呟いた。

 

 そして、同時に僕の記憶が蘇る……。


 「縄文人の特徴として近年研究で

 わかってきた新たなことは……」


「コラ!お前らちゃんと説明を聞け!」

 先生の怒鳴り声。

 

「はい! は~い、ちゃんと聞いてますよ。

先生」

 と返事をする友達、それを見ている僕。


 修学旅行中、縄文時代歴史資料館に見学に

行った。

 

「え~これは、火焔型土器と言って、

縄文時代に燃え上がる炎を象ったかのような

形状の土器のことで、その当時、日本の各地で

作られていたものです。

 所説ありますが、祀り事や生活の場等

様々な用途で使用されていたようです」

と学芸委員の方から説明を受けた僕ら……。


 「皆、集合したな。

 じゃあ、今から自由行動だ!

 夕方までにまたこの駐車場に集合すること!

 いいな! 雨が降りそうだからみんな

気をつけて」

 と先生が言って僕たちは自由行動に移ったんだ。


 「なんか……いやな雲だな……」

 と友達が言った。


 「本当だ……真っ黒い雲だな……」

 と別の友達が言った。

 

 「まるで、悪魔でも降臨するんじゃないか?

  ほら、こう……稲妻が落ちてきて……」

  と僕が空を見上げ指をさした瞬間、

 物凄い光と激しい稲妻の音が聞こえてきた。


  目を覚ますと、

 僕はあの草原に横たわっていた……。


 記憶が蘇った僕は、

今 現実に起こっていることにどう対処すれば

いいのか混乱していた。

 頭の中に色んな言葉が浮かんだ。

これって、なんかの撮影?


 あっ! もしかしてドッキリ?


 いやいや、まさかまさかの……

タイムスリップ?


 いやぁ~、そんなことはないでしょう。


 何故かって?


 だって……タイムスリップって


大体が、江戸時代か戦国時代ってのが定番だよな?


 俺の頭の中はもう一人で

『ノリツッコミ』状態。


 もう……勘弁してくれよぉ~。


 ドッキリなら、もうそろそろ、 

ネタばらしの時間だぞ~。


 そうじゃなきゃ、夢か?


 夢なら、早く覚めてくれ~。



 俺は洞窟の中で叫んだ。

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