第7話 国語の試練の内容

 しばらくそのまま捲れていきやがて本の真ん中あたりでページの動きがぴたりと止まった。ページの文字がふっとオレンジ色に光り、空中に浮かび上がる。ゆっくりと形を変えながら漂い、やがて、ささやくような声になった。

「これから一つの物語を読むがよい。主人公の心を目で読むのではなく、心で読み取れ。問いに答える時、言葉の裏にある気持ちを掴めるかが鍵となる。」

文字はゆっくりと消えていき、代わりに、ページに新たな文章が浮かび上がった。

『昼休み、カナは、教室の隅にある窓辺に座っていた。友達のユキと少しケンカしてしまったからだ。昨日、ユキが大切にしていた消しゴムをカナがふざけて投げたとき、それが偶然、水たまりに落ちてしまった。

「ごめん」

と言ったけれど、ユキは、何も言わずに立ち去ってしまった。

今日は、朝から目を合わせてくれない。カナは、何度か話しかけようと思ったけれど、声が出なかった。窓の外では、誰かが、サッカーボールを蹴る音が響いている。外の音は確かに聞こえているのに、カナの心には届かなかった。

音のある外と、音のない自分の中。世界から切り離されたようだった。』

 「カナの「しんとした静けさ」は、どんな気持ちを表しているか。近いものを選べ。

A. とても集中している気持ち

B. 寂しさと後悔の入り混じった気持ち

C. 怒りが心の中に渦巻いている気持ち

D. 自分は悪くないと感じて開き直っている気持ち」

「文章の中で『してしまった』と後悔しているから答えは、Bの寂しさと後悔の入り混じった気持ちだ」

答えた瞬間、目の前のほんのページがふわりと光り、また次のページがゆっくりと開いた。そのページには、次の物語が記されているようだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る