第6話 国語の試練へ

 オルフについて行って森の奥に入っていくと、遠くの方で青白い光が煙のように高く上がっているのが見えた。

「あの光は何?」

と、オルフに指差しながら尋ねた。

「この森には、いくつかの種類の試練があるんじゃが、どうやら誰かが別の試練をクリアしたようじゃ。」

 オルフは目を細めて、遠くの光をじっと見つめながら言った。

「このまま試練を続けたら、お主も出会えるかもな。」

その言葉の中には、どこか期待と不安が混ざっていた。他にも、この森で戦っている人がいるんだ。

「そうなんだ。」

こんな話をしていると、オレンジっぽく光っている屋根が半球状になっている建物が見えてきた。これが国語の試練の建物のようだ。建物に近づくと、風もないのに、地面の植物が誰かを歓迎するように揺れ始めた。

「もう分かっておると思うがここで国語の試練を受けてもらう。先ほどの試練と同じように自分を信じて進むのじゃ。」

オルフが背中を押してくれる。

「僕ならできる」

こう呟いて試練の建物に向かって進んだ。扉に近づくと、先ほどの試練と同じように、オレンジに光り輝く文字が浮かんでいた。近づいてよく見てみると、こう書かれていた

『2. テストの点数が悪くて顔から火が出る思いだった。この慣用句の意味を4つから選べ。

A. 恥ずかしくてたまらない

B. 怒りで顔が真っ赤になった

C. とても暑くて顔がほてった

D. 嬉しくて顔が赤くなった』

「テストの点数が悪かった時は、恥ずかしくなるから答えは、『Aの恥ずかしくてたまらない』だ。

答えた瞬間に目の前の扉が左右に開き出した。完全に開いてから中に入ると、古本屋さんの中のような匂いがした。そのまま進んでいくと、図書館のように本がたくさん置いてある空間に出た。この空間の真ん中には、一つだけ机と椅子が置いてあった。気になって近づいてみるとチェーンで縛られている一冊の本が置いてあった。本の前に立つと、チェーンがカチリと音を立ててほどけ、鈍い金属音を響かせて机の上に落ちた。中身が気になり、手に取ると、見た目以上にずっしりした重みに少し驚いた。それに、表紙が皮でできていてすごく触り心地がいい。本を開くと、風もないのにページが勝手にパラパラとめくれ始めた。

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